出前授業報告Vol.42

オンライン

2021年8月7,8日

女子中高生夏の学校 2022

タイトル:[ポスター]「オーロラ博士になろう!~オーロラの色から何がわかる?~」, [実験・実習]「分光器で光の正体を探ろう!~身の回りの光から生命探査まで~」

講演者: 坂中伸也 (秋田大学・助教),大矢浩代 (千葉大学・助教), 浅村和史 (宇宙研・准教授),堺正太朗 (東北大学・助教),吹澤瑞貴(国立極地研究所・研究員),村瀬清華 (総研大・博士2年),風間暁 (東北大学・修士2年), 安福友梨 (東北大学・修士2年)

参加人数: [ポスター] 14人(第1~4ラウンド:10人,フリータイム:4人),  [実験・実習] 8人(高校1年生: 5人,高校2年生: 2人)

講演時間: [ポスター]20分 x4 + 25分 (13:20-13:40, 13:45-14:05, 14:15-14:35, 14:40-15:00, 15:10-15:35),  [実験・実習] 1.5時間 x2 (9:00-10:30, 11:00-12:30)

NPO法人女子中高生理工系キャリアパスプロジェクト(GSTEM-CPP)主催「女子中高生夏の学校2022~科学・技術・人との出会い~」において実施されたイベントであるポスター・キャリア相談「研究者・技術者と話そう」と実験実習「ミニ科学者になろう」に参加をしました。

ポスター・キャリア相談セッションでは、本学会の研究分野と手法について簡単に紹介し、特に関連研究者の多いテーマであるオーロラについて、その発光プロセスと原理、惑星ごとの違いについて紹介しました。また、大学院生2名のロールモデルを紹介し、大学院に進学することで得られた経験や知識から就職活動について幅広くお話ししました。参加者の中高生の皆さんからはオーロラの発生域や南北の対称性と言ったオーロラに関する質問や、高校の授業における理科系科目の選択、理系院生の就職先に関する質問など、様々な質問をいただきました。

実験実習では、身の周りの現象と物理のつながりを体感することを目的として、簡易的な分光器を用いた実験を行いました。まず初めに、光とは波の性質をもつ電磁波であることや光の波としての性質を利用した分光の原理について紹介しました。その後、実際に光を分光する実験を2つ行いました。最後にまとめとして、本学会の研究分野における分光を使った最新の研究を紹介しました。

実験A「いろいろな色の光を分光しよう」では、PCの画面に光の三原色である赤・緑・青と、三原色のうち2色の重ね合わせでできるイエロー・シアン・マゼンタを表示し、分光してもらいました。この際、分光するカラーを前半と後半に分け、前半の分光結果から後半の結果を考察、予想してもらいました。本実験により、光の三原色を用いた加法混色でディスプレイが表示されていること、赤・緑・青の混合で様々な色が表せることを体感してもらえたと感じています。さらに、色の三原色と減法混色についても触れ、発展として両者の違いを考えてもらいました。

実験B「身の回りの光を分光しよう」では、身近な光源の輝線の波長を計算し、その発光の要因を考察してもらうことを目的として、実験を行いました。はじめに蛍光灯を分光した際に見える輝線の一部は分子や原子の脱励起による発光であることを紹介しました。続いて参加いただいた女子中高生に、蛍光灯を分光した結果の画像を送って、その結果から輝線の波長を算出してもらいました。さらに、得られた輝線の波長と原子の輝線スペクトルを比較し、発光の原因となる原子を予想してもらいました。それぞれの参加者の結果を一緒に考察した後、蛍光灯の発光要因となっている水銀スペクトルが観測できていることを確認し、蛍光灯の発光原理について紹介しました。

さらに、分光観測を使った研究紹介として、土星の衛星エンケラドスから吹き出すプリュームにH2Oが含まれていることを示す研究を紹介しました。このことからエンケラドスの地下に海があり、生命が存在する可能性が示唆されています。関連して日本が参加している木星氷衛星探査計画JUICEについて、木星の衛星エウロパの地下にも海があることが期待されていること、参加者が将来研究者になったらJUICEの観測データを使った研究に関われる機会があるかもしれないことを紹介しました。

最後に、オンライン開催にもかかわらず、本イベントを滞りなく計画・運営してくださった女子中高生夏の学校実行委員会の皆様、この場を借りて御礼申し上げます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です