分科会活動報告

CA研究分科会

平成12年1月31日と2月1日の2日間,東京大学地震研究所において「地球電磁気学的イメージングから地殻内の流体相について何がわかるか」と題する研究集会を行なった。出席者はのべ約80名であった。表題のテーマについての、口頭19件ポスター16件の発表をもとに活発な議論が行なわれた。また、今回は20世紀最後の研究会にあたることから、21世紀に向けて今後10年に行なうべき重要研究テーマについて、若手の研究者による話題提供と総合討論を行なった。研究会の成果は、例年通り「CA研究会2000年論文集」という印刷物にまとめると共に、地震研究所彙報の特集号にも掲載された。
                                                                                       (歌田 久司)
グローバル地磁気観測研究分科会

グローバル地磁気観測研究会 (代表: 湯元清文)の活動

(1)電磁気研連のもとに地磁気作業委員会(委員長:河野 長、幹事:湯元清文)を
設置し、日本の大学・官庁等による地磁気観測を今後も継続・発展させ、また国際的な
地磁気観測にも貢献できる体制を創っていくための会議とまとめ作業を行っている。(開
11月11日、SGEPPS秋の仙A1999年合同学会期間中、・H11年--More--(18%)
台大会期間中、・H12年6月28日、2000年合同学会期間中)
(2)名古屋大学STE研の海外観測専門員会、STE研究連絡会と連携した新しい「21世
紀におけるSTP観測ネットワーク」の研究集会を下記の日程と趣旨で実施した。
日 程:2月28(月)〜3月1日(水)
場 所:九州大学理学部大会議室(福岡市東区箱崎6―10―1)
世話人:湯元清文(九州大)、西野正徳(名大STE研)、渡邊 尭(茨城大)、
    菊池 崇(通総研)
会合の主旨:
 太陽から地上までの複合系で発生するSTP現象を、時間的・空間的に変化するものと
して捉え、現象の全体像を把握することを目的とする「ネットワーク観測」を推進する
ため、太陽地球環境研究所の設立時において「海外観測専門委員会」が設置され、太陽
から地球までをカバーする研究分野を横断する研究組織という位置づけのもとに、活動
が行われてきました。しかし、各分野独自の研究の進展にともなって、「海外観測」の
意味合いが次第に変化し、現状ではグローバルな「電磁気圏」の研究分野の観測活動に限定して考える傾向が見られます。このような状況からさらに飛躍するためには、ネッ
トワーク観測の持つ本来の意味に立ち戻り、「海外観測」だけでなく、広く「国内観測」
をも包括したネットワーク観測を推進し、それによって得られたデータに立脚した
研究活動を基本とする、全国的な研究組織を新たに設立する必要があると思われます。
そこで、各研究分野を横断するグループ活動に発展させる方向で、新しく「STP観測
ネットワーク研究会」をスタートさせる事が、STE研究連絡会や太陽地球環境研究所海
外専門委員会の幹事会、並びに関係者の間で合意されました。この主旨に沿って、これ
までのネットワーク観測で得られた研究成果の報告や、今後の研究計画の提言を行って
頂き、21世紀を見据えたSTP観測ネットワークへの道筋について議論を深めるため、
九州大学大学院理学研究科に於いて、上記の研究会を開催したいと思います。来世
紀の太陽地球科学研究を担う若い世代の研究者を含め、多数の方々の御参加を期待して
おります。


プラズマ粒子シミュレーション研究分科会

                                                           臼井 英之 岡田 雅樹 上田 裕子
「プラズマ粒子シミュレーション(PPS)研究会」は、今後益々盛んに用いられる粒子シミュレーションの標準版コード作成を目指し、学会の枠を超えた研究者間の情報交換・議論の場として発足し、1998年12月に京都大学宙空電波科学研究センター、SGEPPS会員のご参加にたいして本会がお役に立てればとと,また,多くの方々のご助言をいただきながら分科会活動として定着させていければと思っております.以上,ご報告とさせていただきます.

アラスカ・ロケット研究分科会

                                                                      岡田敏美,遠山文雄

SGEPPS会員をはじめ多くの方々のご賛同を得て発足した「アラスカロケット実験研究会」は,着実にその目的に向かって活動を開始しました.ここにご理解とご支援をいただきました皆様にお礼を申し上げます.
 これまでの活動経過における特記事項としては,2000年1月に打ち上げた小型ロケットTR−1号実験があります.このロケットには, 東海大学の学生が手作りした磁力計が搭載され,ロケットの姿勢計として 寄与しました.また,現在,進行中の計画として,富山県立大学の電磁波工学研究室が中心となって提案した「70km以下の電離層観測計画」があります.この計画は,金沢大学の長野研究室との協力に
より学生の手作りによって実現しようとするものです.上記ロケット実験について,これまでのアラスカ大学とNASAとの協議により 2002年の春に打ち上げウィンドウが得られる見込みであり,その実現を 目指しています.さらに,東海大学は高感度磁力計のほかに,アラスカ大学から開発搭載を要請されているロケットモーター部とペイロードの切り離し機構を製作し搭載することも計画しています.
 さらには,富山県立大学の宇宙技術工房(サークル)は,小型ロケットから高度50kmあたりから放出されるバルーンを利用して宇宙微小物体 (エーロゾル,微生物など)のサンプルリターン技術を開発しています.本提案については,昨年12月にアラスカ大学を訪問した学生がUAF 学生ロケット実験研究会において討議を行いました.
 以上のように,本研究会を通してアラスカ大学とは友好関係が生まれつつあります.アラスカロケット実験にたいする様々な提案は歓迎されています.SGEPPS会員のご参加にたいして本会がお役に立てればとと,また,多くの方々のご助言をいただきながら分科会活動 として定着させていければと思っております.以上,ご報告とさせていただきます.

宇宙天気研究分科会

(1)通信総合研究所、名古屋大学STE研、科学技術庁で企画・共同主催した国際ワークショップ「第23太陽活動極大期における宇宙天気研究とオペレーション」(199年11月15−17日、茨城県大洗町)にISES(国際宇宙環境サービス機関)とともに、共催団体として加わった。このワークショップで生まれたワーキンググループは、現在ISESのワーキンググループとして活動を継続している。今後、SGEPSS分科会の話題として取り上げられることになろう。
(2)SGEPSS分科会 宇宙天気研究会の会合は、まだ開くに至っていない。
                                                                               (丸橋 克英)

宇宙飛翔体環境研究分科会

                                          佐々木 進 臼井 英之 岡田 雅樹
「宇宙飛翔体環境研究会」は、実験や数値シミュレーション手法を用いてSGEPSS内で行われている宇宙飛翔体環境に関する議論を継続的に積み上げ、材料物性工学、推進工学、電気電子工学、宇宙プラズマ物理学などの様々な分野の研究者との交流を通して宇宙飛翔体近傍環境の理解をより一層深めることを目的に発足し、昨年度12月に第1回目の研究会を国立極地研究所で行った。参加者としては、SGEPSSの関連研究者に加え、NASDAの飛翔体帯電関連、各大学や宇宙研の宇宙推進器関連の方々など多彩なメンバーが集まり、宇宙研の佐々木によるレビュー講演の後、それぞれの研究紹介、今後の方針などについて議論を行った。第2回目は本年度後半を予定している。

波動研究分科会
分科会としての活動は、6月26日に発起人有志が集まり、今後の方針を議論した。
(1)発起人会
その他、関連活動としては以下のとおり。
(2)SELENE低周波波動班班会
(3)次期磁気圏ミッション検討会
(4)木星研究会
詳細報告
(1)発起人会 6月26日
発起人のうち9名が集まり、今後の方針などについて議論した。分科会の趣旨については別メールのように小幅な修正をして了承された。基本方針としては、30から60分のじっくり聞ける会合とすること、あらかじめPDFで予稿を作りWebに掲載するとともに、SGEPSSメーリングリストで周知すること、旅費の手当てを考えること、メーリングリストを作ること、分科会は国内外の会議等の関係でつぎの学会までには日が取れず、1月のRASCで行う方向とした。代表幹事に橋本、幹事に森岡、長野両先生を決定した。(出席者 森岡、笠羽、筒井、橋本、小嶋、笠原、今井、羽田、中村)

(2)SELENE低周波波動班班会
11月27日にSELENE低周波波動観測装置を中心に、設計仕様や、データ処理などについて議論した。具体的には1MHzまでのスペクトル観測、100kHzまでの波形観測をそれぞれ2チャンネル行う仕様の詳細、LHR波動などを受信するためには、どの程度低い周波数まで観測すべきか、ESWの伝播速度などを測定するためのモノポール観測を如何にすべきかなど、GEOTAILでの経験も踏まえて検討した。

(3)次期磁気圏ミッション検討会(注:この会合は前回の学会前の9月29日に開催された。)
Geotail衛星において、波動観測の時間分解能が向上したことにより、ESWの発見など新たな展開があった。そして、数msecという電子のダイナミクスに支配される時間スケールでの観測の重要性が明らかになった。次期磁気圏ミッションでは、Geotail衛星では望めなかった高時間分解能での粒子観測と波動の波形観測の共同観測体制をぜひ充実させたい。
一方、波動としては、空間の波動エネルギー分布などを電子の慣性長程度の分解能で観測し、波数の同定、粒子-波動エネルギー変換効率の空間分布などを調べるため、複数の衛星による同時観測が必要である。

(4)木星研究会
3月16,17日に東北大学で木星研究会が開催され、木星電波や木星オーロラ、イオをはじめ木星に関する電波観測やイメージング、その他地球を含む関連する最新の研究成果や観測計画の発表、将来計画に関する議論などが行われた。
                                                                                                (橋本 弘藏)