アイスランドと昭和基地で観測されたWestward Traveling Surgeオーロラの共役性

*土井 寛子[1], 佐藤 夏雄[2], 村田 洋三[2]
佐藤 光輝[3], 利根川 豊[1]
Thorsteinn Saemundsson[4]

東海大学大学院工学研究科[1]
国立極地研究所[2]
東北大学大学院理学研究所[3]
アイスランド大学[4]

Conjugacy of Westward Traveling Surge observed at Syowa-Iceland conjugate-pair stations

*Hiroko Doi[1] ,Natuo Sato [2],Yozo Murata [2]
Mititeru Sato [3],Yutaka Tonegawa [1]
Thorsteinn Saemundsson [4]
School of Engineering, Tokai University[1]
National Institute of Polar Reseach[2]
School of Science, Tohoku University[3]
Science Institute of Iceland Univercity[4]

Conjugate point of Syowa Station in Antarctica is located in Iceland, making an ideal pair of conjugate stations in the auroral zone. Westward Traveling Surge (WTS) was observed at the conjugate-pair stations about 2000UT on September 30, 2000. This isolated WTS aurora showed very similar forms and motion at both hemispheres, but the aurora at Syowa displaced ~500km eastward than that at Raufarhofn in Iceland referring the magnetic field model.

 荷電粒子やプラズマ波動は磁力線に沿って伝播する基本特性を有する。そのため、一本の磁力線で結ばれた南北の地点(地磁気共役点)で同時に同じ現象を観測することにより、太陽風電磁エネルギーが南北の地球磁気圏に流入する過程や、オーロラの発生・発光領域やオーロラ粒子の加速機構などを観測的に診断できる。  共役点でのオーロラの活動を詳細に調べると、その明るさや形、出現領域などが一致しない場合がある事が知られている。南北でオーロラの非対称性が起こる原因としては、地球内部磁場の南北非対称性、太陽風による地球磁気圏形成の南北非対称性、磁気圏と電離圏を結ぶ沿磁力線電流の南北非対称性、地上3000〜10000km付近に存在する沿磁力線粒子加速の南北非対称性などが考えられている。  2000年9月20日から10月4日までの間を共役点観測特別期間に設定(新月は9月27日)し、地磁気共役点である南極の昭和基地とアイスランドの3観測地点(Husaffel、Tjornes、Raufarhofn)で高感度TVカメラを用いた観測を行った。この時期を選んだ理由としては、可視オーロラの共役点観測が可能な時期は、南北両極域が同時に暗夜になる秋・春分時期付近に限られている為である。また、アイスランドと昭和基地との地理的緯度と経度との関係から、同時に暗夜になる時間は秋・春分時でも約5時間だけである。また、この観測では南北の地磁気共役点が晴れている事が必要になる。  今回の発表では、2000年9月30日の昭和基地とRaufarhofnの観測データを用いた。この日、Tjornes、Raufarhornでは20:16UT頃から大規模構造のWestward Traveling Surgeが観測された。また、昭和基地でも20:13UT頃からWTSが見られた。このWTSは、kウィ上がディスクリートであることと西側端の境界がはっきりしているので、共役性・非共役性がわかりやすい。共役性を示す特徴は、形状や動きである。一方、非共役な特徴は、オーロラの規模がSyowaの方が大きく速度も早かった点である。また、昭和基地とアイスランドの2点は磁場モデルでは良い磁気共役点関係にあるが、実際観測されたWTSで求めた共役点は、昭和基地の方が磁場モデルよりも約500km東側に位置していた。本講演では全天TV画像を磁気座標展開したデータを用いて、オーロラの規模・形状・動きの差異や、共役点のずれなどの解析結果を報告する。