レオメトリ実験によるGEOTAIL 衛星搭載電界観測アンテナの特性解析

*井町 智彦[1], 八木谷 聡[1], 長野 勇[1], 東 亮一[1]
筒井 稔[2], 松本 紘[3]

金沢大学 工学部 情報システム工学科[1]
京都産業大学 工学部 情報通信工学科[2]
京都大学 宙空電波科学研究センター[3]

Rheometry Experiment of Electric Dipole Antennas Onboard GEOTAIL

*Tomohiko Imachi[1] ,Satoshi Yagitani [1],Isamu Nagano [1]
Ryoichi Higashi [1],Minoru Tsutsui [2]
Hiroshi Matsumoto [3]
Department of Information and System Engineering, Kanazawa University[1]
Department of Information and Communication Sciences, Kyoto Sangyo University[2]
Radio Science Center for Space and Atmosphere[3]

To obtain accurate values of electric field components, we should evaluate an exact antenna effective length and an accurate antenna impedance of each dipole. The antenna impedance has been measured in situ, however, it is not easy to estimate actual effective length. In this study, we conduct an experiment of rheometry. A 1/100 scale model of GEOTAIL and its wire antennas are immersed in a water tank with an applied uniform ac electric field. By actually receiving the ac field with the wire antenna attached to the GEOTAIL model, we evaluate various characteristics of the antenna, such as effective lengths, directivity patterns, and frequency responses. We will report the results of the experiment, and discuss the characteristics of the dipole antennas onboard GEOTAIL.

GEOTAIL 衛星の PWI (Plasma Wave Instruments) では、プラズマ 波動の電界成分を WANT (Wire Antenna)、PANT (Probe Antenna) と呼ばれる、互いに直交する２組のワイヤアンテナ (100 m tip-to -tip)を用いて観測している。アンテナに印加された電界の大きさ を正確に知るためには、アンテナの実効長とインピーダンスの値が 正確に分かっている必要がある。インピーダンスの値は、観測がプ ラズマ媒質中で行われるためシース等の影響で大きく変化するが、 PWIにはこれを直接測定するための装置を搭載されている。しかし 実効長に関しては、これを正確に求めることは難しい。これまでの 波動解析においては、PWI の観測する周波数帯域は上限が 800 kHz であり、アンテナに対して波長が十分に長いことから微小ダイポー ル近似を適用して、実効長をワイヤ全長の半分 (50 m) と仮定して 計算を行ってきた。この仮定の妥当性を問う研究はこれまでにもい くつか行われており、その結果、否定的な結論は出されていないが、 周波数依存性等、詳細な特性についてはいまだ分かっていないのが 現状である。
本研究では、レオメトリ (Rheometry) と呼ばれる衛星の縮小模型 を用いた実験により、GEOTAIL の電界観測アンテナの特性解析を試 みる。1/100 スケールの衛星模型を作成し、これを電解液を入れた 水槽中に配置する。水槽の両側に電圧を掛けることにより、水中に 一様な電界を発生させ、この衛星模型にWANT、PANTを模したワイヤ アンテナを取り付け、出力電圧を観測することによって、アンテナ の指向性、実効長、その周波数特性を直接計測することが可能とな る。アンテナには、1 m tip-to-tip、直径 0.26 mm の被覆銅線を 用い、WANT、PANT にならって先端の被覆を取り除いた。アンテナ の基部には小型の差動アンプを組み込み、入力インピーダンスを大 きく取ると同時に、測定結果が測定系のアースに影響されない様に している。電界を生成する入力信号は数百 Hz 〜 数 MHz の正弦波 を使用している。現在までの実験の結果、出力電圧の S/N 比は良 好で、指向性パターンも大変鮮明なものが得られている。実効長に ついては、周波数の高い領域では安定しているが、周波数の低い領 域において周波数依存性が見られた。
発表においては、実験装置と結果結果の詳細について述べる。