太陽風磁気ロープの境界
*丸橋 克英[1]
通信総合研究所[1]
Boundaries of interplanetary magnetic flux ropes
*Katsuhide Marubashi[1]
Communications Research Laboratory[1]
This is an attempt to determine the directions of discontinuities
often detected at the boundaries of interplanetary magnetic flux
ropes. The result of analysis indicates that the discontinuity
planes are parallel to the directions of flux rope axes in many
cases. This provides a new tool for determination of a global
configuration of interplanetary magnetic flux ropes.
太陽風磁気ロープはコロナガス噴出現象(CME)に伴って太陽から
飛び出したプラズマ雲の内部磁場構造として広く受け入れられている。
その幾何学的な形状は観測された太陽風磁場を適当なモデルにあてはめる
ことによって求められてきた。ここでは、太陽風磁気ロープの境界がしば
しばMHD不連続面になっていることに着目し、新しい方法として不連続
面の方向を求め磁気ロープの幾何学的構造についての条件とすることを検
討した。
不連続面の方向を求めるには、磁場の最小変動面の計算を
採用した。太陽風磁気ロープがCMEで形成され、背景となる太陽風の中
を伝搬してきたと考えると、その境界は接線不連続面になると考えるのが
自然である。不連続面は表面波的な波動が励起されやすい条件があるため
に、磁場の最小変動解析が不連続面の方向を正しく与える保証はない。し
かしながら、境界の磁場変化が接線不連続面の条件を満たすような場合に
は、最小変動面は磁気ロープの軸に平行となる例が多いことが分かった。
磁気ロープとして観測される太陽風の磁場変化には、円筒型の磁気
ロープモデルでもトーラス型の磁気ロープモデルでもあてはめが可能な
場合があり、実態がどちらに近いかを判定するのが困難な状況があった。
その場合、あてはめで決定される磁気ロープの軸の方向は全く異なるもの
になるのが普通であり、磁気ロープの境界面の方向と軸の方向を比較する
ことにより、どちらのモデルを採用するのが適当かとの問いに対する答え
が得られることが分かった。
不連続面の方向の判定には、複数の衛星
による観測を比較することも有効である。1998年以降、WIND衛星と
ACE衛星の観測が継続されているので、学会までにはそのデータ比較も
試みたい。