あけぼの衛星によって観測された粒子・電磁場構造
*奥 朋之[1], 渡部 重十[1], 向井 利典[2], 松岡 彩子[2]
福西 浩[3], 笠原 禎也[4]
北海道大学惑星大気物理学研究室[1]
宇宙科学研究所[2]
東北大学[3]
京都大学[4]
Cusp structure of electromagnetic fields and charged particles observed by the Akebono satellite
*Tomoyuki Oku[1]
,Shigeto Watanabe [1],Toshifumi Mukai [2]
Ayako Matsuoka [2],Hiroshi Fukunishi [3]
Toshiya Kasahara [4]
Department of Earth and Planetary Science, Hokkaido University[1]
ISAS[2]
Tohoku University,[3]
Kyoto Uniersity.[4]
Over the past 40 years many authors had explained the cusp precipitation
by the open magnetosphere model that needs strong southward or
northward IMF(Interplanetary Magnetic Field). Since the IMF is
usually variable, we investigated the Akebono data when the IMF
was relatively stable. The data not only showed some features
of the open magnetosphere, but also have the 'sine'-like electromagnetic
field structure along the satellite path from day-to-night. The
structure is probably associated with FAC(Field Aligned Current).
The structure was also observed when IMF Bz was close to zero.
We investigated whether the structure depended on IMF By or not.
Our analyses indicate that the IMF By controlled the structure
of electromagnetic fields in the cusp region.
地球磁気圏、特にカスプ領域の電磁場・粒子構造には惑星間空間磁場(Interplanetary Magnetic Field)の変動が密接に関係している。しかし、そのIMFによる磁気圏変動を考察するには、IMFの南北成分、東西成分が比較的安定であることが重要となってくる。そこで、我々はIMFが比較的安定し、あけぼの衛星がカスプ領域を通過する角度に注意しつつ、衛星データを調べた。というのは、我々の調査する目的のひとつであるFAC(Field Aligned Current)がカスプ領域近辺で太陽方向に層状となって構成されている[Iigima anf Potemra, 1976]と考えられ、その構成をはっきりと区別するためには、昼から夜への軌道を調べる必要があると考えたからである。
我々が調べたのは、以上の条件を備えた比較的太陽活動の活発な1990年1月20-27日の期間である。この期間のIMFは(1)南向きで安定なところから始まり、(2)南北成分がほとんど存在しない状態で安定した後、(3)北向きで安定するようになっていた。東西成分については(1)で夕方側から朝方方向、(2)では比較的弱く同じ方向に、(3)では東西方向の成分が非常に小さくなっていた。この期間、以下の3つの特徴が見られた。
1.イオンのエネルギースペクトル
…Rosenbauer et al.[1975]らのモデル通り、これらのエネルギースペクトルの存在は、確かにIMFの南北成分と対応している。
2.カスプ領域の緯度方向の変動
…IMFが南向きの際には緯度方向で70-73度、ほとんど南北成分が存在しないときには75-76度、北向きのIMFの際には78-80度にカスプ領域が存在していた。この現象はBurch et al.[1973]らによって説明されており、太陽風の動圧にも依存してるが、見積りを立てれば南北方向に1nTのIMFに対して、0.6-0.7度ほど変位することになる。
3.電磁場の正弦関数的な変動
…南向きのIMFでは電場が負の正弦関数のように変動すれば、磁場が正の正弦関数的に変動していた。この磁場はIigima and Potemra[1976]の示したFACの構造がIMFによって引き起こされた磁気圏対流によって変遷したものを示していると考えられ、この電場はこの電流系を完結させ、磁気圏対流を起こすものであったと考えられる。しかし、これと非常に近い電磁場構造はIMFの非常に弱い(2)の期間にも観測された。このときのLEPやELFから考えられるカスプ領域は非常に小さく、太陽風起源プラズマが凍結した磁力線がカスプ領域を通過したとは考えにくい。そこで、(1)の場合と(2)の場合それぞれのIMFの各成分と電磁場の変動を比較してみたところ、IMFの東西方向成分がFACの構造を示していると考えられる電磁場の変動と非常に良い相関を示していることが明らかになった。