GEOTAILとSuperDARNで同時観測されたPc3波動の特徴
*新海 雄一[1], 佐藤 夏雄[2], 山岸 久雄[2], 行松 彰[2]
Lester Mark[3], 櫻井 亨[4], 利根川 豊[4]
総合研究大学院大学[1]
国立極地研究所[2]
Department of Physics, University of Leicester[3]
東海大学工学部[4]
Properties of Pc 3 ULF waves observed simultaneously by GEOTAIL and SuperDARN
*Yuichi Shinkai[1]
,Natsuo Sato [2],Hisao Yamagishi [2]
Akira Sessai Yukimatsu [2],Lester Mark [3]
Tohru Sakurai [4],Yutaka Tonegawa [4]
The Graduate University for Advanced Studies[1]
National Institute of Polar Reserch[2]
Department of Physics, University of Leicester[3]
School of Engineering, Tokai University[4]
SuperDARN HF radar has been operated in a special mode in order
to investigate ULF waves in the ionosphere near footprints of
GEOTAIL skimming the dawn side magnetopause on February 8, 2000.
In the dayside magnetosheath near the magnetopause, GEOTAIL observed
typical Pc 3 ULF waves of which peak frequency was around 30-50
mHz. On the same time, Finland CUTLASS HF radar also observed
Pc 3 ULF waves near the cusp region. This fact is one of the
evidence of that Pc 3 ULF waves in the dayside magnetosheath
propagated to the cusp region. By using these data, we discuss
the wave properties and propagation mechanism of Pc 3 ULF waves
both in the dayside magnetosheath and the cusp region.
Pc 3波動はbow shockのupstreamで起こりシース領域を経て磁気圏内へと伝播すると考えられている。これまでの研究で昼側シース領域内のPc3波動は磁気圏内に比べ100〜1000倍という非常に大きなエネルギーをもっていることがわかっている。また、シース領域内磁気圏境界面付近のPc 3波動のPoynting Fluxを見ると、太陽方向への流れがほとんど見られないことから、大部分のPc 3波動が磁気圏内に侵入できずに太陽風によってtail方向に運ばれていると考えられる。一方、地上のHFレーダーや磁力計を用いた観測からcusp領域ではしばしばPc 3波動が観測されている。これはtail方向へ運ばれるPc 3波動の一部がcusp域から侵入したものと考えられる。
2000年2月に、ULF波動を観測する目的でGEOTAIL衛星が磁気圏境界面をスキミングするタイミングに合わせて、SuperDARNの特別観測(Basyouhuu mode)が行われた。特別観測では衛星のfootprint付近のビームを高速でスキャンし、電離層の高時間分解能観測が可能になっている。本研究の対象であるPc 3波動は周期が20秒から50秒程度と短いため、SuperDARNでは特別観測の時間分解能(6秒)でのみ見ることができる。
2000年2月8日10UTから12UTにGEOTAIL衛星は午前側のシース領域内(およそ8MLT付近)においてスペクトルピークを30mHz〜50mHz付近に持つ典型的なPc 3波動を観測した。このときFinlandのCUTLASS HFレーダーで、cusp域であると考えられるレンジ(range=40〜45)で30mHz付近にスペクトルピークを持つPc 3波動が観測された。今回観測されたPc 3波動はupstream起源のものがシース領域内を伝わり、その一部がcusp域に伝播してきたものではないかと考えられる。今後、地上の磁力計などの
データも用いてさらに詳しく解析し、シース領域内と地上で観測されるPc 3波動の特徴について比較したい。