地球近傍(L~1.3)における磁力線共鳴現象の発生と太陽風活動度との関係

*高崎 聡子[1], 河野 英昭[1], 田中 良昌[1]
吉川 顕正[1], 瀬戸 正弘[2], 飯島 雅英[3], 湯元 清文[1]

九州大学大学院理学府地球惑星科学部門[1]
東北工業大学[2]
東北大学[3]

The dependence of the occurrence of low-latitude field-line resonance (FLR) on the solar wind parameters.

*Satoko Takasaki[1] ,Hideaki Kawano [1],Yoshimasa Tanaka [1]
Akimasa Yoshikawa [1],Masahiro Seto [2]
Masahide Iijima [3],Kiyohumi Yumoto [1]
Department of Earth and Planetary Sciences, Kyushu University, Japan[1]
Tohoku Institute of Technology, Japan[2]
Graduate School of Science, Tohoku University, Japan[3]

We use the dual-station H ratio and the phase gradient technique to identify FLR in ground-based data. We then study the dependence of t he occurrence probability of thus identified FLR events on solar win d parameters.
To investigate the dependence, we used every 20-min o f ground data to judge if the FLR took place in the 20-min interval. For the same intervals, we recorded maximum values of solar wind pa rameters. We then calculated the dependence of the FLR occurrence on each of solar wind parameters, normalized by the background distrib ution of each parameter.
As a result, we found that the occurrence probability increases with increasing solar wind density.
We will present and discuss this result and other observed features.

 地上で観測されるPc 3地磁気脈動の中には、磁力線共鳴現象によ るものとそうでないものが混在している。その中から磁力線共鳴現 象を判別する方法として、H成分比法と位相差法という解析法が有 効である。我々はこれらの解析法を用いて磁力線共鳴現象を検出し 、その発生頻度を太陽風活動度の関数として調べた。そしてそれを Pc 3全般の太陽風依存性と比較した。
 本研究では低緯度におけ る磁力線共鳴の構造を解明するため、2000年5月に東北工業大学・ 東北大学の協力を得てL〜1.3にあたる川渡(地理緯度λ=N38.75° )、蔵王(λ=N38.09°)、飯舘(λ=N37.70°)の3カ所に磁力計 を設置した。この3つの観測点から得られた2000年5月〜2000年11 月のデータを20分毎に区切り、それぞれにH成分比法と位相差法を 適用して磁力線共鳴現象の有無を判別し、時刻と共に記録した。
 また、同時に衛星ACEで観測された太陽風の(太陽風伝播時間補 正後の)各パラメーター(IMF、IMF cone angle、太陽風速度、太 陽風粒子密度、etcノ)の最大値を20分おきに調べ、記録した。
  これらの結果から太陽風の各パラメーター毎に磁力線共鳴現象の発 生頻度分布を調べた。これを太陽風の各パラメーターの分布(母集 団)によって規格化し、太陽風の各パラメーターと磁力線共鳴現象 の相関関係を求めた。その結果、低緯度における磁力線共鳴現象の 発生頻度は太陽風の粒子密度と非常に高い相関を示していることが 分かった。
 過去の研究ではPc 3の発生頻度は太陽風のIMF cone angleに依存していることが知られている。一方、今回の結果は、 磁力線共鳴現象の発生と太陽風の粒子密度の間の高い相関を示して いる。本論文では太陽風中の粒子密度情報がどのようにして地球磁 気圏内に伝播し、地球近傍(L~1.3)における磁力線共鳴振動に反 映されているのかについて考察する。
 ACEのデータはサイト「ht tp://rumba.gsfc.nasa.gov/cdaweb/」から引用した。