電通大短波ドップラ観測用送信局JG2XAの開局と初期受信報告

*冨澤 一郎[1], 柴田 喬[1], 奥澤 隆志[2], 有澤 豊志[2]
瀬尾 洋一[2], 足立 登[2], 小川 徹[3], 一ノ瀬 琢美[4]

電気通信大学菅平宇宙電波観測所[1]
電気通信大学情報通信工学科[2]
京都大学名誉教授[3]
同志社大学工学部[4]

Start of the UEC Radio Station JG2XA for HF Doppler Monitoring
and Its Initial Reception Reports

*Ichiro Tomizawa[1] ,Takashi Shibata [1],Takashi Okuzawa [2]
Toyoshi Arisawa [2],Yoichi Seo [2],Noboru Adachi [2]
Toru Ogawa [3],Takumi Ichinose [4]
Sugadaira Space Radio Observatory, The University of Electro-Communications[1]
Dept. of Info. and Comm. Eng., The University of Electro-Communications[2]
Prof. Emeritus, Kyoto University[3]
Dept. of Eng., Doshisha University[4]

The UEC radio station JG2XA started on July 3, 2001 for HFD monitoring. In this paper, specifications of the station are presented. The initial reception reports of its signal by several recipients of both domestic and overseas stations are also introduced.

春の合同大会時に報告したように[1]、電通大では短波ドップラ(HFD) 観測用送受信システムを、本年3月末で閉局した短波JJY局の代替とな るように開発してきた。送信局の免許の下りるのが予定より遅れ、残念 ながら短波JJY局閉局には間に合わなかった。

その後もなかなか開局のめどが立たなかったが、ようやく6月15日に 予備免許が下り、7月26日より試験電波を発射した。6月29日に長野県 菅平局で受信実験を行い最終調整を行った。ついで7月3日に落成検査 を受け、無事本免許を取得した。今回免許の交付された送信局の仕様は 以下のとおりである。

コールサイン:JG2XA
送信局設置場所:東京都調布市電気通信大学内
送信周波数:5006, 8006kHz 送信電力:200W
アンテナ:水平半波長ダイポール
周波数安定度:5x10^-11/day(ルビジウム原子発振器基準)
変調:単側波帯振幅変調モールス符号(H2A)

免許取得後、7月4日より連続運用を開始した。長野県菅平での受信は、 8006および5006kHzの受信信号を高安定水晶発振器(10^-9/day)を基準 にした局発信号で混合し、それぞれ8と5Hzに変換している。これらの 原波形を混合した後、サンプリング周波数100Hz, 16bitでA/D変換して 記録している。また、受信ドップラ周波数変動の簡易モニタとしてF-V 変換出力を0.1Hzでサンプリングして記録している。現在、これらのデ ータはパソコンに格納して、定期的に回収している。目下、ネットワー クからアクセスして利用する形態への改善を図っている。

菅平の他、長野県穂高町および京都府田辺市でも同時に観測を進めて おり、短波JJY送信時と同様の受信データを定常的に提供することが可 能である。従来、国外の標準電波局との干渉が大きくて長時間連続デー タの取得ができなかった5MHz帯では干渉が無くなったため、従来より 良質のデータが取得できている。具体的な受信データは学会時に提示 する予定である。詳しくは、HFDプロジェクトのホームページ
http://ssro.ee.uec.ac.jp/lab_tomi/HFD/HFD.html
をご覧いただきたい。

[1]冨澤・柴田・奥澤・有澤・足立・瀬尾: 地球惑星科学関連学会2001 年合同大会、Ep-001, 2001.