宇宙シミュレーション・
ネットラボラトリーシステムの開発

*臼井 英之[1], 松本 紘[1], 荻野 竜樹[2], 藤本 正樹[3]
粒子モデル班、MHDモデル班、ハイブリッドモデル班

京都大学宙空電波科学研究センター[1]
名古屋大学太陽地球環境研究所[2]
東京工業大学大学院理工学研究科[3]

Development of Space Simulation/Net-Laboratory System

*Hideyuki Usui[1] ,Hiroshi Matsumoto [1],Tatsuki Ogino [2]
Masaki Fujimoto [3]
Radio Science Center for Space & Atmosphere, Kyoto University[1]
STE Laboratory, Nagoya Univ.[2]
Graduate school of science and technology, Tokyo Institute of Technology[3]

A research project for the development of space simulation/net-laboratory system was approved by Japan Science and Technology Corporation (JST) in 2000. This research project is collaboration with an astrophysical simulation group. In this project, we develop a proto type of unique simulation system which enables us to perform simulation runs through WEB-based interface on the internet. We are also developing a on-line database system for space simulation from which we will be able to search and extract various information such as simulation method and program, manuals, and typical simulation results in graphic or ascii format. We will report the overview and the current status of the project.

過去30年近く世界のスペース・プラズマ・シミュレーションをリードしてきた我が国において、その蓄積された知見と技術を更に発展させ社会に還元するためには、21世紀に幕開けする宇宙利用時代に役立つシミュレーション技術と科学を新しく展開する必要がある。太陽面での爆発現象が引き起こす人工衛星の放電事故や高エネルギー電子の挙動などはプラズマシミュレーションなしにはその予報および対策はおぼつかない。 この目的のため、これまで別々に用いられてきた電磁流体シミュレーションや粒子シミュレーションがネットワーク上で統一的に扱えるソフトウェアシステムを構築し、Web上で用意されたパラメータ入力用テンプレートを用いて初期値設定を行なうだけで誰でもプラズマシミュレーションを行なうことができる環境が必要となった。シミュレーション結果は高速ネットを用いて研究者が相互に閲覧できるように、3次元可視化法や動画等を利用したデータの統合的開示(呈示)システムの構築も行なえるようにする。 このシミュレーションシステム環境を構築するため、科学技術事業団の計算科学技術活用型特定研究開発推進事業に応募し、地球・宇宙観測分野の平成12年度研究課題として「宇宙シミュレーション・ネットラボラトリーシステムの開発」が採択された。本研究では、天文シミュレーション分野(千葉大・松元亮治教授代表)とスペースプラズマ分野(京都大・松本紘教授代表)の研究者から構成される組織により、天体シミュレーション実施支援システム、スペースプラズマシミュレーション実施支援システム、及びネットワークを介したシミュレーションデータの共有解析システムの開発を行なう。本研究により、一般ユーザーがネットワークを通じて計算機シミュレーションを行なえる環境が提供でき、宇宙プラズマ物理、宇宙環境科学における計算機シミュレーション手法の普及、推進に大きく貢献できると考える。本講演では、特にスペースシミュレーションに関連する部分を概説する。