惑星間空間中性ヘリウム分布の変化
-「のぞみ」のヘリウムコーン第2遭遇-

*山崎 敦[1], 吉川 一朗[2], 塩見 慶[3], 中村 正人[4]
三宅 亙[1]

通信総合研究所[1]
宇宙科学研究所[2]
リモート・センシング技術センター[3]
東京大学[4]

Variation of neutral helium distribution in the interplanetary space
-The second encounter of NOZOMI with the helium cone-

*Atsushi Yamazaki[1] ,Ichiro Yoshikawa [2],Kei Shiomi [3]
Masato Nakamura [4],Wataru Miyake [1]
Communications Research Laboratory[1]
Institute of Space and Astronautical Science[2]
Remote Sensing Technology Center of Japan[3]
University of Tokyo[4]

Neutral helium rich region exists in the interplanetary space is in shape of a cone, which is called helium cone. The helium atoms originate from the local interstellar medium, and are injected into the heliosphere with the interstellar wind. The helium density distribution in the interplanetary space is dependent on the interstellar parameters, such as the wind velocity and gas parameter, and the interplanetary parameter such as the ionization rate of the neutral helium. NOZOMI has the second encounter with the helium cone this year. In this paper we compare these parameters estimated from the optical measurements by the eXtreme Ultra-Violet (XUV) scanner with ones at the first time, and refer to the temporal variation.

火星探査機「のぞみ」に搭載された極端紫外光撮像器(XUV)はヘ リウム原子及びイオンの太陽共鳴散乱光(波長 58.4nm、30.4nm) を観測している。XUVは、衛星のスピンと軌道による2種類のスキ ャンにより、2次元の全天マップを取得できる。単散乱理論によ れば、散乱光量と散乱粒子の柱密度は比例関係を持つため、光量 からヘリウム原子及びイオンの空間分布がわかる。
現在「のぞみ」は、火星周回軌道投入までの遷移軌道を飛行中で、 太陽の周りを2週した。遷移軌道飛行中のXUV観測光は惑星間空間 中のヘリウム原子からの散乱光である。ヘリウム原子の起源は星 間空間であり、太陽圏と星間物質の相対速度から生まれる星間風 に乗って星間ヘリウムガスが太陽圏内に入り込んだものと考えら れている。ヘリウム原子はイオン化率が小さいため太陽に0.3Au程 度まで接近することができる。また、太陽系内では太陽重力によ って決まるケプラー運動をし、風下側に密度の濃い領域がコーン 状に形成される。この領域をヘリウムコーンと呼ぶ。惑星間空間 のヘリウム原子分布は、星間風の速度と方向、星間空間のヘリウ ム原子の密度と温度という星間パラメータと惑星間空間パラメー タとしてイオン化率で決定される。
前回の遭遇(2000年4月)での観測から星間パラメータを求め、過 去の研究と矛盾しないことを示した。今回(2001年8月)2回のヘ リウムコーン遭遇によって同様に星間パラメータを求め比較を行 いたい。星間ガスのパラメータは時間変化が少ないと考えられる ため、この間に時間変化があった場合には惑星間空間内での変化 に伴うものであろう。特に太陽活動の変化に伴うものであると考 えられる。太陽活動とイオン化率との関係について、言及したい と考えている。