昭和基地―アイスランド地磁気共役点で観測されたELF/VLF放射の¥ 電離層日照効果、週末効果
*山岸 久雄[1], 佐藤 夏雄[1], 菊池 雅行[1], 長野 勇[1]
Thorstein Saemundsson[1]
国立極地研究所[1]
Weekend decrease and sunlit ionosphere effect found in ELF/VLF ¥emissions observed at geomagnetically conjugate stations
*Hisao Yamagishi[1]
,Natsuo Sato [1],Masayuki Kikuchi [1]
Isamu Nagano [1],Thorstein Saemundsson [1]
National Institute of Polar Research[1]
Long-term monitoring of natural radio wave emissions in ELF/VLF
range ¥observed at Syowa Station, Antarctica (L=6.1) and its
geomagnetical-
ly conjugate point in Iceland revealed stronger emissions in
the
summer hemisphere. Moreover, the daytime maxima of the emission
appeared at local noon rather than the magnetic noon for the
conjugate
stations. These two facts indicate a common feature that the
emissions
observed on the ground intensified under the sunlit ionosphere.
We
also found weekend decrease (-8%) of the emission intensity after
7
years of data average, suggesting that electromagnetic noises
in the
human world calm down in weekends, and this affected the wave
activities in the magnetosphere.
過去10数年にわたる南極昭和基地、及びその地磁気共役点であるアイ¥スランドでのELF/VLF帯電磁放射強度の時間変動を解析した。長期間¥
のデータを扱うため、本来の2秒値サンプリングデータを1時間積分した¥中間ファイルを作り、これをデータベース化した。¥
地磁気地方時は同一だが、地理的地方時が4時間ずれる昭和基地−アイ¥スランド共役点での放射強度日変化を比較したところ、磁気圏の発生¥源では磁気地方時正午を中心に広がる放射強度の分布が、地上観測点¥においては、昭和基地では朝側に、アイスランドでは午後側にずれた¥時間にピークが出現した。このずれたピーク位置は、両地点の正午に¥
あたっていることから、太陽日射による電離が最もさかんな地方時正午¥付近で電磁波動が最も電離層を透過しやすくなることが推測された。¥同様なことは太陽日照の盛んな夏半球の地上観測点の方が、冬半球の¥地上観測点よりも放射強度が強まるという季節変化にも見られる。¥
このような日照電離層の下で放射強度が強まる原因を磁気圏内伝搬路に¥沿ったホイッスラーモード波の伝搬ベクトル変化から説明する。¥
また、最近7年間の昭和基地750Hz帯電磁放射の日変化を、週日と週末¥(土、日)に別けて統計したところ、放射が最大となる正午付近の時¥間帯で、週日に比べ週末の放射強度が8%低下することがわかった。¥これは産業社会の活動度が低下する週末には、地上から磁気圏に洩れ¥こむ電磁雑音レベルが低下し、その影響を受けて磁気圏電磁放射強度¥も低下するためと考えられる。商用電力の消費が少ない昭和基地−ア¥イスランド磁気子午面においても、このような結果が得られたことは¥、産業社会からの電磁雑音の影響が電力消費の多い地域の子午面内に¥留まらず、磁気圏内に広く存在することを予想させる。¥
750Hz以外の電磁波周波数について、放射強度の週末効果を調べたとこ¥ろ、350 Hzでは顕著な変化が見られず、2kHzでは明瞭な週末効果が見¥られた。また、地磁気共役点であるアイスランドでは週末での放射強¥度¥の低下は見られず、むしろ放射発生の時間帯がずれる傾向が見ら¥れた。これは、アイスランドは、巨大な電力消費地、北米とヨーロッ¥パにはさまれており、両者の週末開始の時間差(5時間)が、週末に¥おける放射発生の時間ずれの一因であると推測される。