ロケット/地上観測による電離圏E領域イレギュラリティ観測計画SEEK-2 (2)

*山本 衛[1], 深尾 昌一郎[1]

京都大学宙空電波科学研究センター[1]

SEEK-2: Next rocket/ground-based observation campaign for ionospheric E-region (2)

*M. Yamamoto[1] ,S. Fukao [1]
Radio Science Center for Space and Atmosphere, Kyoto University[1]

MU radar observations have found Quasi-periodic (QP) structure in the mid-latitude E-region. In order to reveal its mechanism the next rocket/ground-base observation campaign SEEK-2 is planned to be conducted in the summer of 2002.

2002年7〜8月に、中緯度電離圏E領域の沿磁力線イレギュラリティ (Field-Aligned Irregularity; FAI)の「準周期 (Quasi-Periodic; QP)エコー」の解明を主たる目的として、 宇宙科学研究所の観測ロケット2機とレーダー観測を中心とする 地上観測の総合観測が実施される。 これは1996年8月末に実施された観測計画SEEK (Sporadic-E Experiment over Kyushu)の次期計画であって、 SEEK-2と呼ばれる。中緯度域に発生するFAIは、スポラディックE層 (Es層)の強いプラズマ密度勾配に伴って生じるプラズマのE×Bドリフト 不安定によるとされているが、準周期的なQPエコーの時間・高度分布の 成因はまだ明確にされていない。 ただし現在までの、MUレーダー観測やSEEK観測を含む様々な研究成果から、 Es層の不均一構造に伴って分極電界が生じることや、 Es層高度に強い中性風速のシアが存在することなどが 明らかになっている。これらの結果を踏まえて、電子密度の空間構造や 中性風の効果を取り入れた、新しいQPエコー発生のモデルが提唱 されつつあり、SEEK-2はモデルの妥当性を検証する貴重な機会に なると考えられる。現在の準備状況は、SEEK-2のロケット観測として 観測ロケットS-310-31及び32号機の設計がほぼ完了したところ である。SEEK-2における新しい観測項目としては、2機のロケット 両方においてロケットから150MHzと400MHzのビーコン電波を 発射しスポラディックE層の全電子数の水平構造を観測する ロケットビーコン観測がある。またTMA発光雲による中性大気風速の 観測をロケットの上昇時と下降時に実施することによって、風速場の 水平的な構造が明らかにできると期待できる。来年夏の観測実施に 向けて、今後はレーダー観測を中心に地上観測網の準備を進めて行く。