スバールバル全天プロトンイメージャーとIMAGE衛星によって 同時観測されたIMF北向き時の夕方側プロトンオーロラダイナミックス
*吉田 直文[1], 福西 浩[1], Harald U. Frey[2]
Stephen B. Mende[2], Mark Lester[3], 向井 利典[4]
Roger W. Smith[5]
Department of Geophysics Tohoku University[1]
Space Science Laboratory, University of California Berkeley[2]
Department of Physics and Astronomy, University of Leicester[3]
The Institute of Space and Astronautical Science[4]
Geophysical Institute, University of Alaska Fairbanks[5]
Dynamics of duskside proton aurora observed with the Svalbard all-sky proton imager and the IMAGE satellite under northward IMF conditions
*Naofumi Yoshida[1]
,Hiroshi Fukunishi [1]
Harald U. Frey [2],Stephen B. Mende [2],Mark Lester [3]
Toshifumi Mukai [4],Roger W. Smith [5]
Department of Geophysics Tohoku University[1]
Space Science Laboratory, University of California Berkeley[2]
Department of Physics and Astronomy, University of Leicester[3]
The Institute of Space and Astronautical Science[4]
Geophysical Institute, University of Alaska Fairbanks[5]
Observations with an all-sky proton aurora imager at Longyearbyen/
Svalbard (75.3N invariant latitude) showed enhancements of proton
aurora with a peak intensity of 300 R of Hb in association with
the arrival of solar wind fast shocks at the magnetopause for
the interval 11-16 UT on November 26, 2000. By comparing the
Svalbard aurora image data with charged particle, magnetic field
and image data obtained by WIND, DMSP, GEOTAIL and IMAGE spacecraft,
we clarify the mechanisms of these proton aurora enhancements.
We also discuss the injection processes of solar wind protons
across the magnetopause and the heating and acceleration of injected
protons in the magnetopause boundary region under northward IMF
conditions.
我々は、プロトンオーロラ全天イメージャー(MAIS)をスバー
ルバル諸島のLongyearbyen(不変磁気緯度75.3 N)に設
置し、1999年から定常観測を開始した。この高緯度光学
観測により、磁気圏境界領域のイメージングが可能となった。
MAISの空間分解能は2°、時間分解能は1分、観測波長
は486.1 nm である。
本講演では、Longyearbyen上空
で最大発光強度が300 Rに及んだプロトンオーロラが
MAISを含む地上光学観測器及び軌道衛星上の光学観測
器搭載IMAGE衛星によって観測された、2000年11月26日
11-16 UT (14-19 MLT)のイベントについて報告する。
WIND衛星の太陽風観測によると、明瞭な太陽風ショックが
2回地球磁気圏に到来し、07:58 UTと11:58 UTにSSC を引き起こした。このうち2回目のSSCを含む11-16時UT の時間帯は、IMF は12:22-13:18 UT における断続的な
南向き(Bz<0)及び14:50-15:08 UTの短時間な南向き(Bz <0)を除き、大部分の時間帯が北向き(Bz>0、平均15 nT程
度)であり、太陽風の平均パラメータは、動圧 15 nPa、密度
20 /cc、速度 600 km/sであった。
一方、dusk-sideに位
置するLongyearbyen付近では、2回目の太陽風ショック到
来直後に100 R程度のプロトンオーロラが11:58 UTから
約40分出現した。Longyearbyen付近では、引き続き13:30 - 16:00 UTに100 R 程度(最大300 R) のプロトンオーロ
ラが低緯度側から天頂付近まで約30分の周期で強度を変化
させながら出現した。dusk-side におけるプロトンオーロラの
発光強度が大きくなるタイミングは、明瞭な太陽風動圧が強ま
るタイミングと良い一致を示した。その後、15-20分程かけて
プロトンオーロラ発光強度が徐々に大きくなり、最大発光強度
に到達する傾向が見られた。しかしながら、全てのプロトンオ
ーロラ増光が太陽風動圧増加と明瞭な一対一対応が見られ
るわけではない。
プロトンオーロラ上空を通過したDMSP 衛星によると、dusk-sideプロトンオーロラ発光領域は平均エ
ネルギー7 keV程度の強いプロトン降り込み領域と、1 keV 以下の低エネルギー電子降り込み領域に対応していた。この
ときのプロトンエネルギーフラックスは9.6 - 11.0 (eV/cm2・
s・sr)であった。この領域は粒子の特性よりLLBLからBPS に遷移する領域と推測される。
またこの時、GEOTAIL衛星
がマグネトシースから地球磁気圏境界面をMLT17時付近
で横切り磁気圏内部へ入る軌道上にあり、シース領域では反
太陽方向に流れる熱化されたプロトン(平均エネルギー1 keV 以下)を、マグネトポーズに接するBPS領域では太陽方向へ
流れる平均エネルギー10 keV程度のプロトンを観測した。
この結果は、DMSP衛星による荷電粒子観測結果と一致す
る。
すなわち、このイベントでLongyearbyenで観測された
プロトンオーロラの一部は、夕方側(18 MLT)のマグネトポ
ーズに近いBPS領域の約10 keV のプロトンが太陽風
動圧変動に応答する形で電離圏に降り込んだ結果と解釈
される。
さらに、Super DARNから導出される対流パタ
ーン等を含め、本イベントのプロトンオーロラ発光メカニズ
ム及びIMF北向き時の磁気圏境界付近のプラズマの
供給・加熱過程を議論する。