フォイル・チャフによる中性風測定と大気重力波検出
*小泉 宜子[1], 小山 孝一郎[2], 村山 泰啓[3]
東京大学[1]
宇宙科学研究所[2]
通信総合研究所[3]
The measurement of neutral wind using foil chaff technique and detection of atmospheric gravity waves
*Yoshiko Koizumi[1]
,Koh-ichiro Oyama [2]
Yasuhiro Murayama [3]
University of Tokyo[1]
Institute of Space and Astronautical Science[2]
Communications Research Laboratory[3]
The neutral wind observation with foil chaff on board sounding
rocket S-310-29 was carried out on January 2000, in the WAVE2000
campaign. The horizontal wind velocity and descent speed were
obtained in the height range of 95.0-88.5 km. The wind profiles
suggest that the fine structures are likely caused by atmospheric
gravity waves. These small scale wind fluctuations may be superposition
of many gravity waves. These waves are considered to be much
smaller than the generally observed gravity waves. We study the
small scale gravity wave in detail and describe the characteristics
of wave structures observed.
2000年1月にWAVE2000キャンペーンの一環として行われた
S-310-29号機ロケット実験では、フォイル・チャフ(以下、チャフ)
による中性風測定を行った。この測定法は高度80〜100kmの
中間圏・下部熱圏の風系を、高度分解能1km以下の高精度で
直接測定できる。今回の実験では、ロケットから散布したチャフを
約5分間レーダーで追尾し、高度95.0-88.5kmにおける水平風速と
落下速度が得られた。
これまでの解析の結果、水平風速と落下速度のそれぞれに、高
度に対して波状の風速変動が観測された。この風速に見られる変
動は大気波動によるものと考えられる。この風速変動の鉛直スケ
ールは数百m〜数kmと考えられるが、これまで観測されてきた重力
波と比べてスケールが極めて小さい。これは既存のレーダー観測
では検出できない微小スケールの大気波動をとらえたと思われる
。一般には、様々な波長の大気波動が重畳したものとして観測結
果に現れると考えられている。そのため、風速の高度プロファイ
ルをもとにスペクトル解析を行い、鉛直波長スペクトルと飽和ス
ペクトルモデルとの比較から、鉛直波長800m以上の大気重力波が
存在していることが分かった。
本講演では、重畳している微小規模の大気重力波の検出を行い
、その構造について発表する予定である。また来年2月に行われる
ロケット実験での新たな取り組みについても紹介する。