昼夜間スポラディックNa層の
ライダー観測

*長澤 親生[1], 阿保 真[1], 柴田 泰邦[1]

東京都立大学大学院工学研究科[1]

Lidar observations of sporadic Na layers during daytime and nighttime

*Chikao Nagasawa[1] ,Makoto Abo [1],Yasukuni Shibata [1]
Tokyo Metropolitan University[1]

The sporadic Na layers (Nas) are thin layers of neutral atomic sodium which occur at altitudes between 90 and 110km. Characteristics of the Nas layers observed during nighttime and daytime by the Na lidar are reported.

 厚さ2〜3kmの狭い層を成し、数分で突発的に発生し、数時間 維持された後消滅する中間圏界面領域のスポラディックNa原子層 (Nas)の発生機構は、まだ未解明な多くの部分を含んでいる。 Cox and Plane (1998) は、NaイオンからNa原子へ変換する化学 反応を、モデル計算することによって、Nasの発生機構を提唱して いる。一方、Chen et al.(2000) は、Naライダーを用いた中緯度 での中間圏界面領域の気温測定から、この高度領域の気温の日変化 は、15度以上の大きな変化を観測しており、特に日出時や日没時 に極めて気温が低下することを報告している。  我々は、Naライダーに狭帯域のNa原子ファラデーフィルターを 用い、夜間・昼間の継続的なNa層の観測を行うことにより、Nas 層の変化を観測している。図に日出時のNas層の時間変化観測例 (2001/7/13の朝方)を示すが、予想されたような日出時の急激 な変化を見ることは出来ない。  一方、ライダーによる金属イオンの観測は、唯一Caイオンにつ いて行われているが、技術的な困難さが伴うため観測例は少ない。 高緯度におけるCa原子とCaイオン層のライダー同時観測では、Ca 原子層は平均87kmの高度に定常的に存在したが、Caイオン層は 定常的には存在せず、90-120kmの高度にSporadicに発生するの が観測されている。CaイオンからSporadic Ca 中性原子層への変 遷は、Caイオンの発生高度や気温分布に依存しているようである が、観測事例が少なくまだ不明な点が多い。我々は中緯度におい て、Na層温度とCaイオン層のライダー同時観測の準備もすすめて いる。 参考文献: Cox and Plane (1998) , J.G.R., Vol.103, pp.6349-6359., Chen et al.(2000), J.G.R., Vol.105, pp.12371-12379.