セレーネ衛星搭載用電子エネルギー分析器 (PACE-ESA) の開発
*秋場 良太[1], 斎藤 義文[1], 横田 勝一郎[1]
浅村 和史[1], 向井 利典[1]
宇宙科学研究所[1]
Development of an electron spectrum analyzer (PACE-ESA) on board the SELENE satellite
*Ryota Akiba[1]
,Yoshifumi Saitou [1],Shoichiro Yokota [1]
Kazushi Asamura [1],Toshifumi Mukai [1]
Institute of Space and Astronautical Science[1]
An electron spectrum analyzer (PACE-ESA) on board the SELENE
satellite has been developed in order to investigate 1) the lunar
surface magnetic field by electron reflection method, 2) Moon-solar
wind interaction, 3) the Earth's magnetotail, and so on. ESA
is basically a top hat type electrostatic analyzer with angular
scanning deflectors at the entrance and troidal electrodes inside.
We have fabricated a proto-model ESA sensor and experimentally
investigated it's characteristics. We will report the particle
transmission characteristics of the sensor,comparing the result
of the numerical calculation and the calibration experiment.
我々が現在開発中の電子エネルギー分析器(ESA:Electron Spectrum Analyzer)は、月周回衛星セレーネ搭載プラズマ観測器PACE (Plasma energy Angle and Composition Experiments)を構成する3種類4台の
センサESA-S1,ESA-S2,IMA (Ion Mass Analyzer),IEA (Ion Energy Analyzer) のうちの1つである。PACEは100km高度の月周回軌道に
おいて低エネルギー電子、イオンの観測を行うことを目的としている。
ESAの主な観測目的は1)電子反射法による月表面擾乱磁場の観測、2)
月−太陽風相互作用の解明(特に月のlimb付近での圧縮波、月のWAKE 構造の観測)、3)月軌道からの地球磁気圏の観測等が挙げられる。1)
の電子反射法とはセレーネに搭載される磁力計LMAG (Lunar MAGnetometer) と同時に観測を行い、太陽風の電子が月表面の磁場によって反射される
ことで生じる電子のピッチ角異方性を利用して月表面の磁場を求める方法である。
これらの観測目的を達成するために、ESAを以下のように設計した。
ESAは基本的にはTop-Hat型の静電分析器であるが、荷電粒子の入射口に
視野角を掃引する為の電極(Deflector)を置くことで2πの視野角をもつ。
セレーネは3軸姿勢制御であるため、2台の同一のESAセンサESA-S1とESA-S2 を互いに180°反対方向をむくように搭載することで4πの視野を確保した。
入射口からセンサ内に入った荷電粒子は、トロイダル型偏向電極に印加
された電圧に応じてエネルギー分析されMCP(Micro Channel Plate)
で検出される。ESAのエネルギー、角度分解能はそれぞれ約10%、5°
×8°であり、5eVから17keVの範囲のエネルギーを32のステップ
で掃引して観測する。3次元分布関数を取得するのに要する時間分解能
は最高で1秒である。図は数値計算により得られたDeflector電圧0V、
内球印加電圧1.7kVのエネルギー角度特性図である。この図は入射電子
のエネルギーと入射角度についてセンサの感度を示したものである。今
回はESAプロトモデルの室内実験の結果を数値計算の結果と共に示し、
これらの結果を比較検討することでフライトモデルへの改良点につい
て議論する。