地磁気データから推定される外核表面流に伴う地形トルク

*浅利 晴紀[1], 清水 久芳[1], 歌田 久司[1]

東京大学地震研究所[1]

Topographic torque between core and mantle obtained by core surface flow

*Seiki Asari[1] ,Hisayoshi Shimizu [1],Hisashi Utada [1]
Earthquake Research Institute, University of Tokyo[1]

Topographic torque acting on the mantle from the fluid core is investigated. CMB topography and pressure distribution at the surface of the core are necessary to calculate the torque. Pressure distribution is estimated using core surface motion, which is inverted from geomagnetic secular variation applying frozen-flux approximation and tangentially geostrophic hypothesis. Integrated torque throughout CMB seems to change as phase difference between distributions of topography and pressure varies.

 地球の自転速度がさまざまな時間スケールで変動していることは 測地学的な観測から知られている。3ミリ秒程度の振幅をもつ数十年 スケールの変動は、外核とマントルの間の角運動量交換に起因すると 考えられている(Jackson et al.[1993])。これをもたらすコア−マ ントルの結合の要因として、粘性・電磁気・重力・地形(圧力分布) の効果でマントルに作用する回転軸方向のトルクが挙げられる。この うち粘性では観測されたLOD変動を生じさせるトルク(〜10^{18} Nm) を作ることが出来ないと見積もられている。電磁結合はLODの時間変 動に対応するトルク変動を無理なく作れることが示されている (Holme[1998])。
 外核流体がCMBの地形に与える圧力は、局所的な見積もりによると 非常に大きく、単純にその絶対値から地形トルクを計算すると 10^{18} Nmよりも大きくなる可能性がある。しかし、圧力によるトル クをCMBに渡って積分して地形トルクを求めた場合、力が相殺するこ とによって全体としては小さくなりえる。今のところ地形結合により 実際にどの程度のトルクが生成されているかは不明である。
 地形トルクの値はCMBの地形分布とCMB直下の流体の圧力分布から求 めることができる。正しい圧力分布を得るためには外核表面流が必要 である。流れが水平方向に地衡流的であると仮定することで、表面流 分布から圧力分布を求めることができる。
 本研究では、地磁気変動を用いて外核表面の流れを求めた。このと き、流れが地衡流に近くなるという制約を与えた。流れに対して見積 もられる誤差の影響がどの程度地形トルクの値に反映されるか確認す るため、圧力分布に誤差の範囲内の変化を与えてみて地形トルクが敏 感に変わるか調べた。また人工的に圧力分布を回転軸方向のまわりに シフトさせたときのトルクの変動を求めた。これらをもとに、地形ト ルクが圧力・地形の分布の位相にどの程度影響をうけるかについて議 論する。さらに回転軸以外の方向のトルクについても議論する。