2001.4.13の衛星電波シンチレーション現象について

*島 裕樹[1], 野崎 憲朗[2], 五十嵐 喜良[2]
皆越 尚紀[2]

東京学芸大学[1]
通信総合研究所[2]

On the satellite radio signal scintillation on Apr.13.2001.

*Hiroki Shima[1] ,Kenrou Nozaki [2],Kiyoshi Igarashi [2]
Naonori Minakoshi [2]
Toukyou Gakugei UNIV.[1]
Communications Research Laboratory[2]

Severe radio scintillation was observed at Yamagawa Radio Observatry Kagoshima in BS:12GHz and GMS:1.694GHz radio signal in the evening of Apr.13.2001 from 21:15(JST) to 22:00(JST). The scintillation was observed during geomagnetic storm started 13:43(UT). Equational Spread-F (ESF) was observed in Cebu,Philippines,Okinawa, and Kokubunnji prior to the scintillation. We attribute the scintillation phenomena to the ESF from geomagnetic equator to middle latitude.

 通信総合研究所の山川電波観測施設でモニターしている 放送衛星(Ch7)の12GHzの電波に、2001年4月13日12:15(UT)- 13:00(UT)、シンチレーションが発生した。この時、同時に 受信していた"気象衛星"ひまわり"のビーコン電波 1.694GHzにはピーク強度で15dBもの大きな シンチレーションが記録された。  この現象の原因を知るため、4月11〜15日の期間における 磁気赤道に近いフィリピンのセブ島(10.35N,123.91E) 中低緯度の沖縄(26.17N,127.48E)、中緯度の国分寺 (35.42N,139.29E)のIonogram及び磁場のデータの解析をした。  11日16時UT頃から12日19時UT頃にかけて大規模な、 13日の7時UT頃から14日0時UT頃にかけて中規模な磁気嵐 が起こっている。14日15日にかけては磁場の乱れは 見られない。  セブのIonogramをみると、大規模な磁気嵐が 起きた11日12日では、日没後の東西方向の電場が 抑えられ、スプレッドF(ESF)は11日の20時UT以外は 起こっていない。シンチレーションの起こった13日では セブでは日没後に大きなF層の上下動があり11:00(UT)〜 13:00(UT)にかけてESFが発生している。沖縄では 11:15(UT)〜13:30(UT)にかけて、国分寺では11:45(UT)〜 14:45(UT)にかけてESFがおこっている。  13日の11時にセブでESFが起こり、その後、15分後に 沖縄でESFが起こり、その30分後に国分寺でESFが 起こっている。これは、磁気赤道付近で起こったESFが 中、低緯度付近に伝播していることが言える。また、 シンチレーションはセブでのESFが終わるとほぼ同時 に終わっている。このことから。今回のシンチレーション は磁気嵐に起因するものでは無く、日没後の東西電場に より、大規模なESFが起こりそれが伝播したことにより 起こった現象といえる。  また、スプレッドしたセブのF層の高度が下がってくると ほぼ同時に沖縄も下がってくる。しかし、今回その下がって きた沖縄のF層が、もう一度上がっていくという現象が 見られた。今回の大きなシンチレーションはその現象が 起こると同時に始まった。また、国分寺も、下がって上がる という現象を起こしている。この現象が今回の大きな シンチレーションに関与している可能性もある。