ベトナムにおける630.0nm赤道夜光の全天観測

*一場 伸元[1], 林 幹治[1], Hoang Thai Lan[2]

東京大学大学院 理学系研究科[1]
Vietnam National Center of Natural Science and Technology[2]

All-sky imaging of 630.0nm night airglow in Vietnam

*Nobumoto Ichiba[1] ,Kanji Hayashi [1],Hoang Thai Lan [2]
Graduate School of Science,University of Tokyo[1]
Vietnam National Center of Natural Science and Technology[2]

We conducted observation of 630.0nm airglow by using an all-sky imager from February 18,2001 near by Ho Chi Minh City in Vietnam.This study presents that OI 630.0nm airglow zones are observed in north and south directions of the observation site and are enhanced near midnight.Also it was observed that some intensity depletion along the north-south direction with an eastward drift velocity of 80-150km/s. We discuss the relations between midnight airglow enhancement and the plasma dynamics in the ionosphere.The seasonal effects of these phenomenon will be discussed by comparing the data from Feb. to Apr. and the data from May to Jly..

 我々は地磁気赤道付近での大気夜光の観測を目的とし、Vietnamの Ho Chi Minh Cityの西約30kmに位置するHoc Mon観測所(10.8N, 106.5E;GMC:1.61,178.14)に630nmのall-sky imagerを設置し、2001 年2月18日から毎月、新月を含む2週間の観測を行っている。前回の 学会ではその観測結果の速報として、2月から4月のデータを基に、 1.磁気赤道では真夜中付近に顕著な増光現象が日常的に見られる、 2.発光領域は夕方に北(南)1000kmから徐々に緯度を下げ真夜中付 近に磁気赤道の両側500km付近に至り輝度は200〜300Rに達する、3. 発光領域には南北に延びる構造が見られ全体が東向きに〜80m/sで 安定的にドリフトする、4.広い経度幅で数時間間隔の強度変化が 同時に起こる(AEと相関があり、IMFとの関係は定かではない)、 等の現象を報告した。 今回は新たに取得された5月から7月のデータ解析を基に、真夜中 付近の増光現象のF層イオンの下方輸送との関連やplasma bubbleと 考えられる南北構造のドリフト運動についてより考察すると共に、 2〜4月と5〜7月とでの夜光現象の違いから、季節依存性について 特に言及する予定である。 赤道域での季節変化として、東経80度付近でプラズマの鉛直方向の ドリフトに統計的な違いが見られ、2〜4月に比べ5〜8月は、1. prereversal enhancementがない、2.下向きドリフトが日没直後で 弱く、明け方付近で強い、ということが分かっている(Fejer et al. ,J.G.R.,1995)。本研究では1.に関連してバブルの発生頻度の減少、 2.に関連して増光時間帯の遅れ、など予想される変化について検証 する。また、増光する時間帯が南北でずれている傾向が観測されて おり、それに関連したプラズマ運動を考察する。 今後の予定としては同時に取得されているUniv.Western Ontarioの ionosondeのデータにより、電離層構造の変化やプラズマドリフトの 速度との比較を行う予定である。 本研究の観測にあたっては、VietnamのNational Center of Natural Science and Technologyの施設と現地スタッフの方々の協力により 行われている。