南極点での多波長全天イメージング観測による昼側オーロラの特性について

*泉谷 恭明[1], 坂野井 健[1], 岡野 章一[1]
岡田 雅樹[2], 江尻 全機[2]

東北大学惑星プラズマ・大気研究センター[1]
国立極地研究所[2]

Dayside aurora characteristics: Multispectral all-sky imaging at South Pole

*Yasuaki Izutani[1] ,Takeshi Sakanoi [1],Shoichi Okano [1]
Masaki Okada [2],Masaki Ejiri [2]
Planetary Plasma and Atmospheric Research Center, Tohoku University[1]
National Institute of Polar Reserch[2]

Image data of dayside aurora obtained with a multispectral all-sky imager installed at Amundsen Scott South Pole Station have been analyzed. Keograms made from the image data showed that the intensity ratio of I(630.0)/I(557.7) has characteristic latitudinal and MLT dependence indicating a clear boundary between regions in which the ratio is high and low, respectively. The intensity ratio represents characteristic energy of precipitating electrons. Therefore regions in the magnetosphere mapped to the ionosphre through field lines are reflected in optical data. We will discuss the characteristics of the intensity ratio in detail, and further, source regions in the magnetosphere using the optical data accompanied with relevant satellite and/or HF radar data.

昼側オーロラは昼側磁気圏の構造、また太陽風と磁気圏の相互 作用に関して大きな情報を持つと考えられている。しかしながら、 昼側オーロラの地上観測は太陽光による観測の困難や観測点の少 なさのため、夜側オーロラに比べて研究は不十分である。 国立極地研究所は南極点のアムンセン・スコット基地(MLAT=-74 °, MLT=UT-3.5h)に多波長全天イメージャーを設置し、1997年の 冬期からオーロラ観測を開始した。観測はN2+1NG(427.8nm), OI (557.7nm), OI(630.0nm), およびOH(8-3)バンドの4波長の干渉フ ィルターを用いて行われている。なお、南極点においては4月から 9月の期間にわたって24時間連続のオーロラ観測が可能である。今 回、南極点での1997年から1999年までのオーロラ観測画像データ の解析から昼側オーロラの特性についての考察を試みた。解析に 際しては、各波長でのオーロラ発光の強度比がオーロラ降下粒子 のエネルギー特性を反映している事に着目した。 画像データから得られたI(630.0)/I(557.7)のオーロラ強度比の ケオグラム解析の結果、強度比の大きい部分と小さい部分の分布 に特徴的なMLT、磁気緯度依存性が認められた。この分布構造がオ ーロラ降下粒子の起源となる磁気圏の空間構造を反映しているも のと考えれば、オーロラ発光の各波長間の強度比を通じて磁気圏 構造とそのダイナミックスに対する考察が可能である事となる。 講演においては、多波長全天イメージャーによる昼側オーロラの 観測結果に、衛星データやHFレーダー等の観測結果を併せて行っ た解析に基づく磁気圏構造に対する考察を示す。また、オーロラ 発光とその各波長間の強度比を通じて磁気圏構造にアプローチす る事の妥当性、有効性についての考察を示す。