イオプラズマト−ラスのドップラーイメージング:観測装置と手法の開発
*鍵谷 将人[1], 岡野 章一[1], 坂野井 健[1]
東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター[1]
Doppler Imaging Observation of Io Plasma Torus : Development of the Instrument and Data Reduction Technique
*Masato Kagitani[1]
,Syouichi Okano [1],Takeshi Sakanoi [1]
PPARC Grauate School of Science, TOHOKU University[1]
Ions originated from volcanic eruption on Jovian satellite Io
forms Io plasma torus along Io's orbit. Emissions of sulphur
ions in the plasma torus are strong enough to be observable from
the ground. Observation of Doppler quantities, that is Doppler
shift and width, of such emission lines is expected to greatly
contribute to understand the the dynamics of the Jovian magnetosphere.
We are now developing a new Doppler imaging system which measures
spatial distribution of such Doppler quantities as well as emission
intensity. In advance of observation, we are developing a method
for deriving these Doppler quantities from simulated data taking
instrumental parameters into account. We will present results
of the simulation along with the method to obtain distribution
of Doppler quantities by scanning the etalon gap.
木星の衛星イオの火山噴出ガスを起源とするイオンはイオ軌道に
沿ってプラズマトーラスを形成している。プラズマトーラス中の硫黄
イオンは発光(SII6716,SII6731,SIII9531 )が強く、地上から観測
が可能である。これらの発光輝線の線幅および波長変位が測定できれば
発光イオンの温度および視線方向速度をそれぞれ求めることが可能とな
り、木星磁気圏ダイナミックスの解明に大きく寄与すると期待される。
我々は、発光強度の空間分布とともにこのようなドップラー量の空間分
布の観測を目標に、新たにドップラーイメージング装置の開発を進めて
いる。ドップラーイメージング装置は口径50mm 、スペーシング0.5mm のファブリペローエタロンに干渉フィルターを前置分光系として用い、
視野全角13 ′(約40 木星半径)の空間を撮像する。エタロンギャップ
は較正レーザーフリンジにより常時モニターされ、平行度のサーボ
安定化をはかりつつスペーシングのピエゾ掃引が可能である。エタロン
は安定化のため干渉フィルターと共に恒温層に収納され、温度制御がな
される。我々は観測に先立って、木星圏に想定される硫黄イオンの発光
強度及びドップラー量の2次元分布モデルを出発点とし、観測装置の
各種パラメータに基づいて疑似観測データを生成し、この疑似観測
データからドップラー量の導出を行うシミュレーションを進めている。
講演では装置の紹介とともに、エタロンギャップの走査によりドップラ
ー量の分布を求める方法とシミュレーション結果について議論する。
さらに、新たに開発されたドップラーイメージング装置の試験結果も
紹介する予定である。