MUレーダー観測による
中間圏・熱圏中性風の太陽活動度依存性

*川村 誠治[1], Nanan Balan[2], 中村 卓司[1]
深尾 昌一郎[1]

京都大学宙空電波科学研究センター[1]
北海道大学理学研究科[2]

Solar activity variations of neutral winds in the mesosphere and thermosphere observed by the MU radar

*Seiji Kawamura[1] ,Nanan Balan [2],Takuji Nakamura [1]
Shoichiro Fukao [1]
Radio Science Center for Space and Atmosphere, Kyoto University[1]
Division of Earth and Planetary Sciences, Hokkaido University[2]

The meteor and incoherent scatter (IS) observations made by the MU radar are analyzed to study solar activity variations of the mean winds and amplitudes of period 24, 12, and 8 hours at mesosphere and thermosphere altitudes over the radar. The zonal and meridional neutral wind velocities at mesosphere-lower thermosphere (MLT) altitudes (80-100 km) derived from meteor observations and the average meridional neutral wind velocity at F region altitudes (220-450 km) are used. The study shows that the mean winds and amplitudes at MLT and thermospheric altitudes decrease with increasing solar activity except the zonal mean wind at MLT altitudes that increases with solar activity. The effects of ion drag, neutral density, and momentum flux are being studied to investigate the observed results.

MUレーダー(滋賀県信楽町: 136E, 35N)によって観測された熱圏、 及び中間圏・下部熱圏(MLT領域)の中性風データを用いて、熱圏と MLT領域の中性風の太陽活動度依存性について議論する。熱圏の中 性風(高度220kmから450kmの平均)には1986年から15年間のIS定常観 測で得られたデータ(子午面方向のみ)を用い、MLT領域の中性風(高 度約80kmから100km)には1990年から10年間の流星観測で得られたデ ータを用いる。平均風(1日平均)と、周波数解析により得られた24 時間、12時間、8時間周期成分の振幅について、太陽活動度依存性 を調べる。
熱圏及びMLT領域の中性風の各周期成分の振幅は、ともに太陽活動 度が高くなるに連れて小さくなる。熱圏ではイオンドラッグにより この傾向が作られるが、プラズマ密度の低いMLT領域ではイオンド ラッグの影響は小さく、イオンドラッグにより振幅が抑えられると は考えにくい。MLT領域では太陽活動度の上昇による中性大気密度 の増加が中性風の各周期成分の振幅を抑えていると考えられる。
熱圏では太陽活動度の上昇によりイオンドラッグが大きくなり、平 均風が小さくなる。一方MLT領域では太陽活動度が高くなるに連れ て平均風の南北成分は小さくなるが、東西成分は大きくなる。MLT 領域における平均風の太陽活動度依存性について、下層大気から MLT領域へ重力波によって輸送されて来る運動量に着目し、議論す る予定である。