空間領域干渉計法観測を用いた風速推定精度に関する研究

*河野 宜幸[1], 深尾 昌一郎[1]

京都大学宙空電波科学研究センター[1]

Study of wind estimation errors on spaced antenna technique

*Noriyuki Kawano[1] ,Shoichiro Fukao [1]
Radio Science Center for space and atmosphere, Kyoto University [1]

Spaced antenna is one of techniques to measure wind velocities with the MST radars. This technique needs three (or more) spatially separated arrays and correlation functions are calculated by signals obtained from these arrays. Full correlation analysis (FCA) is applied to estimate "true" velocities for the spaced antenna technique, on the other hand, another correlation analysis is shown in terms of scattering theory. Both analyses should provide same results for wind estimations.
In our presentation, we will compare both analyses with simple computer simulations.

MSTレーダーを用いた風速推定法として現在ドップラー法が主流と なっている。もう一つの風速推定法である空間領域干渉計法観測 は、空間的に離した複数の受信アンテナを用いて受信された 信号から相関関数を求め、風速に関するパラメータを推定する。 Full correlation analysis (FCA) は、その理論式を相関関数全体 にフィッティングすることで風速に関するパラメータを推定する。 空間領域干渉計法を用いた風速推定では、このFCA法が主流となって いる。一方、散乱理論に着目することで 相関関数の特徴点のみを用いて風速を推定する手法が提案された。 この両手法は風速推定に関して全く等価な値を導き出すべきで ある。しかしながら、実際の観測より得られた相関関数はノイズの 影響を受け関数形が歪んでいる他、相関関数の最大値点から 遠ざかるに従い、理論式より外れていく。これらの要因は 空間領域干渉計法観測による推定誤差の主因となっている。
本講演では、簡単なコンピューターシミュレーションを用いて 両手法から得られる風速推定精度について様々な大気の状態を 仮定して比較・検討する。