電離層の長期観測データの解析U
〜各地域のデータの比較〜
*廣瀬 哲也[1], 野崎 憲朗[2], 丸山 隆[2]
東京学芸大学[1]
総務省 通信総合研究所[2]
Analysis of a long term ionospheric activityU
〜Regional valuation〜
*Tetsuya Hirose[1]
,Kenro Nozaki [2],Takashi Maruyama [2]
Tokyo Gakugei Daigaku[1]
Soumusyo Tsuusinsogokenkyujo[2]
We compared long term variation of noon time ionospheric foF2
monthly median at Kokubunji, Boulder, Brisbane, Canberra, Moscow,
and Slough. FoF2 was plotted for month and for year in three
dimension as we reported previously. FoF2 at all the station
decreased during solar maximum year. There seems to be some global
mechanism to decrease electron density only in solar maximum.
前回、国分寺正午のfoF2の長期データより、太陽活動極大期にお
いてF層の電子密度が太陽活動と負の相関が見られることを報告し
たが、今回はそのメカニズムを追求するために、地球上の様々な地
域のデータを用いて比較検討を行った。方法としては前回同様に、
月、年、foF2の3次元のプロットを作り、各観測点のfoF2の季節
変化や太陽活動変動への応答を解析した。データは電離層の長期観
測を行っている国分寺、Boulder、Brisbane、Canberra、
Moscow、Sloughの観測点における、LT12時のfoF2の月メディアン
値を用いた。
各地点のfoF2の3次元プロットを比較してみるとまず気付くの
は、その地点が地球の北半球、南半球のどちらかということと、夏
と冬の電子密度のどちらが大きいかということは関係がないという
ことである。つまり、単純に緯度経度の違いだけでは電離層の特性
を決めることは出来ないということが分かった。今回着目している
太陽活動極大期におけるfoF2の減少は、どの地域にも見ることが出
来た。さらにその減少の様子は全体の電子密度の大きさに比例し
て、全体的に電子密度の高い国分寺やSloughでは減少が大きく、
CanberraやMoscowなど、全体の電子密度が低い場所での減少は小
さかった。これは地域間だけでなく、それぞれの観測点の季節変化
についても、季節変化のピークの月は減少による溝が深くなってい
る。つまり電子密度が高いほど、この現象の影響を受けやすいとい
うことになる。
以上の結果より、太陽活動の極大期に電離層の電子密度が大きく
なると、それを抑え込むような機構が全地球的に働いていることが
分かる。今後は、F層より波長の短い太陽光によって生成される、
E層や、D層についても議論していかなければならない。そのため
には、E層、D層の指標であるfoEや、fminのについても、解析を
重ねていく必要がある。