あけぼの衛星PWS観測に基づくオーロラ電離圏密度構造の研究

*児玉 理[1], 小野 高幸[1], 飯島 雅英[1], 大家 寛[2]

東北大学大学院理学研究科[1]
福井工業大学[2]

The plasma density structure of auroral ionosphere observed by PWS on-board the Akebono satellite

*Osamu Kodama[1] ,Takayuki Ono [1],Masahide Iizima [1]
Hiroshi Oya [2]
Graduate School of Science, Tohoku University[1]
Fukui University of Technology[2]

The knowledge of the structures of auroral ionosphere is not sufficient yet because strong and localized disturbances of ionization and Joule heating make it difficult to establish a statistical view of the auroral ionosphere. According to the N-H profile analysis of topside ionograms from Akebono PWS experiments, it has been found that an enhanced ionization region sometimes appears in the altitude range from 1000 - 2500km associated with an increase of the scale height. The purpose of this paper is to show the detail of this unique ionosphere structure by comparing with the in-situ plasma density data by using the PWS plasma wave spectra obtained on-board the Akebono satellite.

 人工衛星のサウンダ―観測によるトップサイド電離圏の構造の 研究は1962年に打ち上げられたAlouette―T衛星によって 開始され、現在までさまざまな衛星によって観測が行なわれ、 トップサイド電離圏の静穏時の構造は良く理解されている。しか し、オーロラ粒子降りこみ域では、inverted-V型に代表される ポテンシャル構造や、粒子の降りこみ、ジェット電流によってそ の構造は大変複雑となり、統計的な取り扱いが困難であるため、 十分な理解がされているといえない。しかし、この領域の構造、 ダイナミックスを知ることは、この領域で起こっている物理現象 の理解にとって非常に重要である。特に1000km以上の領域では、 ISレーダーなどによる観測も困難であるため、衛星データを 用いた解析が必要となる。  1989年に打ち上げられたあけぼの衛星により、トップサイド サウンダー観測がなされているが、オーロラ粒子降り込みにて、 得意なイオノグラムが数例観測されている。イオノグラムN-H 解析によると、1000から2500kmのところに、電子密度の 増大する領域が観測された。1990年1月31日に観測された 例では、電子密度の鉛直プロファイルは、このイオノグラムの 前後32秒に観測されたプロファイルに比べ、800km付近から 高度が上がるにつれて、密度とスケールハイトが大きくなり、 1500km付近でスケールハイトはピークをもつ特徴が示さ れている。ピーク時でのスケールハイトの値は、前後の観測結果 と比べ3倍もの値となる。Benson et. al.[1979]も ISIS‐1衛星により同様の構造を報告しているが、この電離圏 構造の詳細の解析は進んでいない。  本研究では、このユニークな電子密度構造について、ダイナ ミックスペクトルのUHR周波数を読み取ることによって得ら れる、より高時間分解能の電子密度データを用いて究明すると ともに、オーロラ粒子降り込み域の数百kmから5000km までの高度領域における電離圏構造に対しての理解を進める ことを目的としている。