オーロラヒスの近尾部への伝搬
*松尾 敏郎[1]
京都大学大学院情報学研究科[1]
Propagation analysis of funnel-shaped auroral hiss to near magnetotail
*Toshio Matsuo[1]
Graduate School of Informatics、 Kyoto University[1]
It has been reported that funnel-shaped auroral hiss which propagte
upward are observed by the DE-1 and Akebono satellites at an
altitude range from 1 to 3 Re. One of our interests is to make
clear that where can hiss which generated in the nightside auroral
region、 propagate. To calculate the ray path、ray tracing program
with Tsyganenko 89 magnetic field model is developed. Ray tracing
studies shows that funnel-shaped hiss propagate toward the region
where electron cyclotron frequency become more lower with increasing
altitude, and also shows that hiss can not enter neutral sheet.
上方伝搬する漏斗型(funnel-shaped)オーロラヒスはDE-1やあけぼの
衛星によって1〜3Reの高度で観測されているとことが、報告されて
いるが、これらの衛星の高度よりも、より遠方に伝搬しているものと
考えられる。 磁気圏尾部の何処まで伝搬可能なのか、 また、そこでは
どのようなスペクトラムになるか等を、新たにT89磁場モデルを導入した
したレイトレイシングを使って調べた。¥
ホイスラーモード波の伝搬通路は大きく分けて、背景の電子密度構造と
磁場構造に支配される。 従来のレイトレイシングではダイポールや
IGRF磁場モデルが使われ、主に、地球近傍の磁気圏の波動現象の伝搬
解析用のツールとして使われてきている。 しかし、IGRF等の磁場
モデルが使えない領域を飛翔する衛星が打ち上げられ、そのような
領域にもホイスラーモード波が存在することが明らかにされている。
このような領域での波動現象の解析には、それ用の磁場モデルや
電子密度モデルが必要である。 磁場モデルにはTsyganenko]が開発
したT89磁場モデルを、電子密度モデルはGeotailのLEPデータや他衛星
で観測された電子密度分布を参考に作った。¥
背景のプラズマや磁場強度が空間的に、その分布が異なるために、
低高度衛星で観測されたヒスのスペクトラム構造が、 そっくり同じ
スペクトラムのままで尾部側へ伝搬はできない。 上方伝搬するヒス
のアッパーカットオフ周波数は電子サイクロトロン周波数と電子
プラズマ周波数のうちの、どちらか低い方の周波数で決まる。
従って、ヒスのスペクトラムは観測点がより、地球から離れるに従い、
高い周波数成分から徐々に削りとらる。 このためカットオフ周波数
が低くなるにつれ、たとえば約2kHz以下にもなると、漏斗型の形状
が分かりにくくなり、漏斗型ヒスかどうかの判別は難しくなる。¥
一方、ヒスが何処まで伝搬できるかは、ヒスの低域カットオフ周波数
に依存する。 オーロラヒスの低域カットオフ周波数は数百〜1kHz 程度で、まれに100Hzの例もあるが、観測点の電子サイクロトロン、
電子プラズマ周波数のどちらかが低域カットオフ周波数に一致した
観測点で消滅する。ヒスの低域カットオフ周波数と両者のうちの、
どちらかの周波数が一致する点まで伝播可能である。
ニュートラルシートはヒスを反射し、その中に伝搬することは
できない。 もし、この領域内にホイスラーモード波が観測されたなら
ば、それは尾部側から伝搬してきた可能性がある。¥
講演ではレイトレイシングでホイスラーモード波の尾部側への伝搬特性
と漏斗型ヒスの観測事実を考慮して、その伝搬について報告する予定
である。¥
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謝辞:Geotail LEPのデータを使わせていただいた宇宙研、向井教授
に感謝します。