太陽風観測データに基づくサブストーム時の磁気圏尾部の圧力変化の予想

*宮下 幸長[1], 町田 忍[1], 斎藤 義文[2], 向井 利典[2]

京都大学 理学研究科[1]
宇宙科学研究所[2]

Prediction of total pressure variations in the magnetotail associated with substorms based on solar wind data

*Yukinaga Miyashita[1] ,Shinobu Machida [1]
Yoshifumi Saito [2],Toshifumi Mukai [2]
Graduate School of Science, Kyoto University[1]
The Institute of Space and Astronautical Science[2]

We have predicted variations in the total pressure in the magnetotail associated with substorms, based on solar wind data. We assumed a simple magnetospheric substorm model in which the magnetic field strength and the total pressure were connected with the solar wind electric field. We modified the model so that the energy release associated with substorms were expressed. Thus, the total pressure variations were able to be predicted well for the periods when the total pressure changed regularly, although the model should be improved further.

惑星間空間磁場が磁気圏前面で再結合し、その一部が磁気圏尾部 に持ち込まれることにより、尾部の磁場エネルギー・圧力が 増大する。このエネルギー蓄積過程が進行すると、ある時点で 不安定性が発生し、エネルギーが解放され、サブストームが 発生する。
本研究では、磁気圏サブストーム関する単純なモデルを仮定し、 観測された太陽風の電場を入力として、サブストームに伴う 磁気圏尾部の圧力解放の予想を行った。 データは、GEOTAIL と WIND のデータを用いた。モデルは、 Goertz et al. [JGR, 1993] のを使用したが、そこでは、 太陽風-磁気圏-電離層を結合させたモデルを考え、太陽風 中の磁場と速度をもとに AE (AU, AL) 指数を算出する方法を 示している。本研究では、このモデルの中で用いられている 太陽風の電場とローブの磁場強度を結びつける方程式に着目し、 ローブの磁場強度、または、全圧力の変化を予想した。この際、 方程式に含まれていなかった、サブストームに伴うエネルギー 解放・圧力変化を表現する項を導入した。
その結果、全圧力の上限・下限がほぼ一定な変化が規則的な 時期に関してはかなり良く観測と予想は一致することが見出 された。しかし、太陽風の入力が大きい時や尾部にプラズマ流が 発生する時など、まだ改良の余地がある。 また、圧力変化が不規則な日については、予想と観測はほとんど 一致しない。これに対しては、全圧力を地球からの距離や太陽風 パラメータによる補正をするなどの検討が必要であると 思われる。
謝辞。WIND 衛星のデータを提供して くださった R. Lepping と K. Ogilvie に感謝します。