Super-Alfvenic 電磁イオンサイクロトロン
波動による重イオンの選択的磁力線垂直加熱
*水田 孝信[1], 星野 真弘[1]
東京大学[1]
Preferential perpendicular heating of heavy ions
by a super-Alfvenic electromagnetic ion cyclotron (EMIC) wave
*Takanobu Mizuta[1]
,Masahiro Hoshino [1]
The University of Tokyo[1]
We discuss preferential, perpendicular heating of heavy ions
paying attention to a wave-particle interaction in multi-component
plasmas where long Super-Alfvenic EMIC waves exist. In a Super-Alfvenic
EMIC wave and a Sub-Alfvrnic, heavy ions are preferentially
heated [Mizuta and Hoshino, 2001]. Furthermore, we found that
a short Sub-Alfvenic EMIC wave traps heavy ions in a localized
region and that they effectively resonate with a long Super-Alfvenic
EMIC wave. This phenomenon cannot be explained by the quasi-linear
theory under the random phase approximation.
重イオンの選択的磁力線垂直加熱は多くのプラズマ環境で議論され問
題となっている。オーロラ領域では、electromagnetic ion cyclotron (EMIC) waveにともなってHe+, O+が選択的に磁力線垂直方向に加熱さ
れた例が報告されている[e.g., Lund et al., GRL, 1998]。また、重
イオンの大気流出過程において垂直方向に加熱しそのエネルギーを磁力
線方向に解放するプロセスが議論され、重要な問題となっている。太陽極
域コロナホールにおいては、観測衛星SOHOの観測により、O5+など重イ
オンが陽子の10〜100程度の垂直方向温度を持つことが分かってき
た
[e.g., Cranmer et al., SSR, 1998]。
これまで我々は、重イオンが混ざった多成分プラズマ中での波動
−粒子相互作用に着目し、選択的垂直方向加熱を議論してきた。多成分
プラズマ中では、位相速度がAlfven速度より十分速い長波長のSuper -Alfvenic EMIC波動が存在する。この波動と通常のEMIC波動(Sub -Alfvenic EMIC波動)が混在するときの波動−粒子相互作用を議論
した。テスト粒子シミュレーション実験により、重イオンのみ強く垂直
方向に加熱されることを見いだした。その加熱効率は我々が提唱した純
電波−磁波モデルとよくあうことが示されている[Mizuta and Hoshino, GRL, 2001]。この加熱をさらに考察した結果、
1、Sub-Alfvenic EMIC 波動は短波長なので、粒
子は狭い実空間に補足される。
2、Super-Alfvenic EMIC 波動は
長波長なので、補足された粒子はこの波の同じ位相を感じ続ける。
3、ほとんどの粒子の速度は、短時間でSuper-Alfvenic EMIC 波
動の電場方向を向き、加熱され続ける。
4、二つの波のポインティングフラックスが
等しいときに最も効率よく加熱される。
5、二つの波の位相速度差が大きいほど効率がよい。
ということが分かった。講演では、この加熱の物理素過
程の理論的解釈とシミュレーション結果を中心に議論する。