WINDによって観測された木星ヘクトメートル電波の長期変動

*中川 史丸[1], 森岡 昭[1], 三澤 浩昭[1]

東北大学大学院理学研究科　惑星プラズマ・大気研究センター[1]

Long term variation of Jovian hectometric radio emissions observed by WIND

*Fumimaru Nakagawa[1] ,Akira Morioka [1],Hiroaki Misawa [1]
Planetary Plasma and Atmospheric Research Center, Tohoku University[1]

Jovian hectometric (HOM) radiations are emitted from Jovian polar region with strong power. HOM emissions are not able to be observeed on the ground because of reflection in terrestrial ionosphere, so characteristics of HOM emissions are not well known.
In this study, using data observed by WIND, we investigated the occurrence probability of HOM emissions over the long period.
As the result, we found that HOM has long term variation and this variation depends on sun spot number.

　木星ヘクトメートル電波（以下HOM）は木星極域から放射されて おり、木星磁気圏でのダイナミクスを解明する上で、重要な手掛 かりになりえるといえる。しかしながら、地球電離層での反射の ため地上観測が出来ず、詳しい特性、特に太陽活動に起因する長 期変動の様相はまだ解っていない。これまでの我々の解析では、 HOMと太陽風との相互相関をより詳細に調べることにより、HOMに は太陽風に依存する成分（solar wind HON:sw-HOM）と依存しな い成分（non solar wind HOM:nsw-HOM）の二種類に分類できるこ とが明らかにされた。sw-HOMの時間変動は太陽風動圧にコントロ ールされていることが解ったが、nsw-HOMの変動が何によって起 きているかはまだ解っていなかった。
　本研究では、NASA/GSFCで公開されている、WINDに搭載された WAVESのデータを用い解析を行った。解析は１９９５年から２００ ０年のデータについて、HOMの発生頻度を調べ、長期変動成分につ いて調べた。
　その結果、HOMの発生頻度が、長い時間スケールで、大きく変化 していることが明らかになった。さらに、nsw-HOMの発生頻度の時 間変化を調べたところ、太陽黒点数と相関が見られることがわか った。この結果は、それぞれのHOMの放射源位置やそのエネルギー 源の違いを特定するのに非常に重要な手掛かりになるものである。