離れた位置で観測された太陽風磁場構造の再現性について
*中川 朋子[1], 松岡 彩子[2],のぞみMGFチーム
東北工業大学通信工学科[1]
宇宙科学研究所[2]
Comparison of the interplanetary magnetic field structures observed at a large heliospheric longitude
*Tomoko Nakagawa[1]
,Ayako Matsuoka [2]
NOZOMI/MGF Team
Tohoku Institute of Technology[1]
Institute of Space and Astronautical Science[2]
The interplanetary magnetic field observed by NOZOMI at a large
separation of about 90 degrees in heliospheric longitude from
the Earth was compared with that observed in the vicinity of
Earth during the period from November, 1999, to December, 1999.
Magnetic structures observable in hourly averages were found
to conserve over the large longitude, with a few exceptions
in which waveforms of the magnetic field were resemble to but
not identical with each other. Disagreements were often found
in high-beta plasmas.
セクター構造のような大規模な太陽風磁場構造は太陽自転の周期
以内ではかなり再現性が良いことが経験的に知られているが、より
小さなスケールの構造については、太陽系空間で数十度離れた経度
で観測される磁場どうしがどれほど良く一致するかについて定量的
な調査はあまりなされていない。従来の観測は、フラックスロープ
のようなプラズマβの低い構造は、規模が大きくて、細かい擾乱が
あまり乗っておらず、逆にβの大きい構造はスケールが小さい、と
いうおおよその傾向を示している。
本研究では、「のぞみ」と地球が太陽から見てほぼ90度離れた経
度にあった1999年11月から12月の期間に観測された太陽風磁場を、
ACEなどの地球近傍の太陽風磁場とプラズマの観測と比べ、太陽風磁
場の構造の再現性を調べた。磁場の1時間平均値どうしの再現性は非
常に良かったが、稀に再現性の良くないケースが見られた。離れた
経度で見た観測の再現性が悪いのはプラズマβの高い場合がほとん
どであった。
そのうちの一つが「のぞみ」位置で11月19日、ACE位置で11月25日
に観測された例である。変動のスケールや様子は互いに似ているも
のの、プラズマβの高い区間で磁場の波形がかなり異なっていた。
βが低い値に戻ると波形の不一致も解消された。βの急変
する境界では、プラズマの温度が周囲より高温であった。
βの高い太陽風はセクター境界に多く、セクター境界は光球面上
では活動域の集中する磁気中性線の回りに相当するので、元々複雑
な構造が放出される可能性のある場所である。しかし、波形は違っ
ても変化のスケールが似通っていることから、全く独立の構造が放
出されたものを観測したとは言い難い。今回は、βの異なる層
状の構造のために擾乱の伝搬速度が異なり、隣合う領域の波の
位相がずれて波形が変化していった可能性について検討する。