Substorm時における電離層電気ポテンシャルの太陽風パラメータ依存性 について
*中田 裕之[1], 篠原 学[1], 上出 洋介[1], 荻野 龍樹[1]
名古屋大学太陽地球環境研究所[1]
Dependence of the ionospheric electric potential on solar wind parameters during substorms
*Hiroyuki Nakata[1]
,M. Shinohara [1],Y. Kamide [1]
T. Ogino [1]
Solar-Terrestrial Environment Laboratory, Nagoya University[1]
The ionospheric electric potential during substorm is investigated.
We calculate the electric potentials using field-aligned currents
derived from the global MHD simulation and conductivity maps
used in Kamide et al.[1996]. As a result, the structures of the
electric potentials are controlled only by the southward IMF.
There is a close correlation between the electric potential and
the product of solar wind speed and the value of IMF. However,
the correlation coefficient in the growth phase differs from
that in the expansion phase.
さまざまな太陽風パラメータに対して行ったglobal MHD simulationの計算結果から、substorm時の電離層電気ポテンシャル
を求め、電気ポテンシャルの太陽風パラメータに対する依存性につ
いて調べた。
global simulationでは、IMFを北向きから南向きに変化させること
でsubstormを発生させることが出来る。そこで、この北向き・南向
きの両方のIMFを、それぞれ2.5nT・5nT・10nTに変化させ、計9通
りの磁場変化パターンを持つsubstormについて、電離層電気ポテン
シャル分布を求めた。また、太陽風密度、速度には、5個/cc、
300km/sという値を用いているが、これらの値を変化させた場合に
ついても計算を行った。用いたsimulationコードは、ogino[1992] などに用いられているコードであるが、電離層の効果を完全には含
んでいない。そこで、より現実的なポテンシャルを求めるために、
まず、simulationの結果から沿磁力線電流分布を求め、それに加え
て、Kamide et al.[1996]により導かれたsubstorm時の電気伝導度
分布を使ってモデル計算を行った。モデル計算では、関係式
▽(Σ▽Φ)=-j sin I (Σ:電気伝導度、Φ:電気potential、j:沿磁
力線電流、I:伏角)を用いて電気ポテンシャルを求めている。
その結果、substormのどのphaseにおいても、電離層電気ポテンシ
ャル構造は、北向きIMFの影響は受けず、ほぼ南向きIMFに支配され
ることが明らかになった。また、cross potentialの値も、南向き
IMFによって決定される。北向きのIMFが異なる場合には、cross potentialの値も多少異なるが、その誤差は10%以内であった。
南向きIMFとcross potentialの値は正の相関を示し、南向きIMFが
大きくなるほど、cross potentialも大きくなる。また、太陽風速
度に対しても正の相関を示しているが、太陽風密度に対しては、
相関を示したものの、その影響は非常に小さいものであった。
Kan and Lee[1979]、Reiff et al.[1981]などにより、太陽風パラ
メータとcross potentialの関係が調べられており、cross potentialはvB(速度×磁場)と非常によい相関を持つことが分かっ
ている。本研究で求めたポテンシャルもvBとよい相関を持つが、
substormのphaseによって相関係数は異なり、expansion phaseで
の相関係数は、growth phaseの約1.3倍の値を持っていた。
Kamide et al[1996]では、substormの各位相毎のポテンシャル構
造等を導出しているが、用いたデータの期間には、IMF Bz成分が
-5nTから0nTの間の値で振動していた。そこで、本研究のIMF Bz が-2.5nTの時の結果と比較すると、growth phase・expansion phaseでは、構造、cross potential共に、非常によく似た結果が
得られたが、substormのpeak時では、一致は見られなかった。
発表では、より詳細な解析結果について述べる予定である。