地上観測点間の時差を利用して抽出したULF振幅の地方時及び 磁気地方時依存性について

*尾花 由紀[1], 吉川 顕正[1], 塩川 和夫[2]
R.J. Morris[3], J. A. Kennewell[4], B. J. Fraser[5]
J. V. Olson[6], S. I. Solovyev[7], 湯元 清文[1]
CPMN観測グループ

九州大学大学院理学府[1]
名古屋大学太陽地球環境研究所[2]
Australian Antarctic Division[3]
IPS Radio Solar Observatory, Learmonth Solar Observatory[4]
University of Newcastle[5]
University of Alaska[6]
Inst. of Cosmophysical Research and Aeronomies [7]

Characteristics of LT and MLT Dependences of ULF Amplitudes Extracted from Information of Time Differences between Observational Points

*Yuki OBANA[1] ,Akimasa Yoshikawa [1],Kazuo Shiokawa [2]
R.J. Morris [3],J. A. Kennewell [4],B. J. Fraser [5]
J. V. Olson [6],S. I. Solovyev [7],Kiyohumi Yumoto [1]
CPMN Observation Group
Faculty of Science, Kyushu University[1]
Solar-Terrestrial Environment Laboratory, Nagoya University[2]
Australian Antarctic Division[3]
IPS Radio Solar Observatory, Learmonth Solar Observatory[4]
University of Newcastle[5]
University of Alaska[6]
Inst. of Cosmophysical Research and Aeronomies [7]

To investigate the characteristics of ULF waves on the ground, we extracted the magnetic local time (MLT) dependence:F(MLT) and local time (LT) dependence:f(LT) components of Pc 4 power. We used the geomagnetic data observed at Chokurdakh (CHD), Kotzebue (KOT), and Macquarie Isl. (MCQ) locating about ±64.5°geomagnetic latitude. Contaminated information of F(MLT) and f(LT) can be derived from daily variation of power difference between CHD-KOT and CHD-MCQ . While, pure f(LT) component can be extracted from daily variation of power difference between KOT-MCQ, because they are geomagnetic conjugate points each other.

 磁気緯度の等しい2点で観測されたULF波動について調べると、 振幅パワー比が日変化していることが分かる。これは、ULF波動 の振幅パワーの地方時・磁気地方時依存性と観測点の時差によっ て生じたものと考えられ、様々な時刻のパワー比を統計的に解析 することで、ULF振幅の地方時・磁気地方時依存性成分を抽出す ることができる。また、磁気共役点では同じ一本の磁力線振動が 電離層上に供給されていると仮定すると、共役点間のパワー比が 示す日変化は、電離層電気伝導度の日変化、すなわち地方時依存 性のみで与えられると考えることができる。
 このように、磁気緯度の等しい2点及び磁気共役点の地上磁場 変動観測データを使ってULF波動振幅の地方時依存性・磁気地方 時依存性を分離することを試みた。
 その結果、ロシアのチョコルダーク(CHD; M.lat.=64.67°, M.lon.=212.12°, L=5.46)、アラスカのカツビュー(KOT; 64.52°, 249.72°, 5.40)、オーストラリアのマッコーリー島(MCQ;-64.50°, 247.84°, 5.40) の3点で94年9月15日から17日の間に観 測されたPc 4脈動のH成分データから以下の結果が得られた。
(1) 磁気共役点であるKOTとMCQの比較から、以下のような地 方時特性が得られた。
 (1−1)12時付近に極小、5時・17時付近に極大を持つ。
 (1−2)1日の変動幅は、最大値が最小値の約1.59倍。
(2)CHD-KOT、CHD-MCQの比較から、以下のような磁気地方時特 性が得られた。
 (2−1)9時付近に極大、18時付近に極小を持つ。
 (2−2)1日の変動幅は、最大値が最小値の3倍程度。
 地方時依存性は観測点上空の電離層電気伝導度の変化によって 引き起こされていると考えられ、電離層の発散性Hall電流による 遮蔽効果が現れているのかもしれない。また、磁気地方時依存性 は磁気圏内の磁力線振動の強度分布を反映していると考えられるが、Takahashi and Anderson (1992) の結果とは一致せず、詳細 は今後の課題である。一つの可能性として、ULF波動の一般的特 性として、東西方向の波数が一般に午前側より午後側が大きいと 言われていることが挙げられる。そのために午後側では中性大気 による遮蔽効果が大きくなり、地上では振幅パワーが弱くなって いるのかもしれない。
 講演では、更にほかの季節や低緯度のデータも用いて、広範な ULF振幅の日変化特性について報告する。