赤道大気レーダーによる電離圏イレギュラリティの観測

*小澤 雄一郎[1], 山本 衛[1], 橋口 浩之[1]
横山 竜宏[1], 深尾 昌一郎[1]

京都大学 宙空電波科学研究センター[1]

Observations of Ionospheric irregularity by The Equatorial Atmosphere Radar

*Yuichiro Ozawa[1] ,Mamoru Yamamoto [1]
Hiroyuki Hashiguchi [1],Tatsuhiro Yokoyama [1]
Shoichiro Fukao [1]
Radio Science Center for Space and Atmosphere, Kyoto University[1]

The Equatorial Atmosphere Radar(EAR) is a large Doppler radar built for atmospheric observation at the equator in West Sumatra in the Republic of Indonesia. It was completed in March 2001. It can observe winds and turbulence in the altitude range from 1.5 km to 20 km. It can also observe echoes from ionospheric irregularities. We conducted the observation of ionospheric irregularities in the period from July 30th to August 7th this year. We present the results of the observations. We have found echoes continuously at around 90 km altitude. We discuss the characteristics of the Doppler spectra and the behavior of the echoes.

2001年3月にインドネシア共和国西スマトラ州の赤道上(東経100.32°, 南緯0.2°)に赤道大気レーダー(以下、EAR)が完成した。EARは積乱雲の 生成と消滅にかかわる風速変動の微細構造の解明、大気波動と大気循環の 関連の解明、赤道大気の力学的上下結合の解明、オゾンやCO2など大気微 量成分の全球輸送の様子やエルニーニョ現象などの気候変動につながる地 球大気の変動の解明、電離圏大気の様々な力学的過程や構造の解明などを 目的としている。周波数47 MHz、送信出力100 kW(尖頭値)、アンテナに は3素子八木アンテナ560本を用いたアクティブ・フェイズド・アレイを採 用し、赤道域において高度1.5 km〜20 kmの大気乱流の観測とともに、高 度90 km以上の電離圏イレギュラリティの観測が可能である。 EARでは本年7月30日から8月7日にかけて初めての電離圏イレギュラリテ ィの観測がおこなわれた。その結果多くのエコーを観測することができ た。高度90 km付近では連続してエコーが観測され、夜になるとそのエコ ー強度が強くなった。また、85 km〜100 kmにかけてたびたび強力なエコ ーが観測された。本講演ではこれらの結果について、エコーのドップラー 速度の振る舞いおよびスペクトルの特徴なども含めて考察する予定であ る。