SATIにより観測された回転温度の半日周期変動成分の季節変化

*下舞 豊志[1], 塩川 和夫[2], 小川 忠彦[2]

島根大学総合理工学部[1]
名古屋大学太陽地球環境研究所[2]

Semidiurnal oscillations of rotational temperature observed by SATI

*Toyoshi Shimomai[1] ,Kazuo Shiokawa [2],Tadahiko Ogawa [2]
Interdisciplinary Faculty of Science and Engineering,Shimane University[1]
Solar-Terrestrial Environment Laboratory,Nagoya University[2]

The Spectral Airglow Temperature Imager (SATI) can measure the rotational temperature in 12 directions horizontally by observing nightglow emissions of OH and O2. We used Lomb and Scargle method to obtain frequency spectra of temperature variations and extracted predominant components. Results show that the semidiurnal component has its maximum amplitude in winter and secondary maximum in summer.

名古屋大学太陽地球環境研究所では、複数の光学観測機器により 構成される超高層大気イメージングシステム(OMTI)を製作し、 1997年度より信楽MU観測所において連続観測を実施している。 OMTIの観測機器の一つである分光温度計(SATI)は検出器に 冷却CCDを用い、OH・O2分子のバンド発光の数本の輝線を同時に 計測することにより、そのスペクトルからそれぞれの分子の温度を 時間分解能4分で求めることが出来る。 SATIの制御は自動化されており、無人定常観測が可能である。 1997年11月の設置以来、機器調整のための1999年4月-8月の 停止期間を除いて連続観測データが得られている。 SATIによって得られた回転温度および発光強度変動は、 夜間光学観測のため、最大10時間程度のデータしか得られないが、 大気潮汐にともなう変動であると考えられる半日周期の波動が 全体的に見られる。 そこで、3日間毎のデータに Lomb-Scargle の方法を用いて スペクトルを求め、卓越する2周期成分を抽出し、それらの 季節変化を求めた。 その結果、半日周期変動は冬に第一の極大、夏に第二の極大を示した。 ただし、位相変化には明白な特徴は見られなかった。 春・秋には半日より周期の短い成分が卓越することが示された。 講演では、過去の流星レーダーによる風速観測結果や、 ライダーによる観測結果との比較・考察を行いたい。