磁気静穏時に太陽風動圧変動によって駆動されるPc5型変動の特性

*富山 広一[1], 森岡 昭[1], 三澤 浩昭[1], 土屋 史紀[1]
三好 由純[1], 早川 基[2], 松岡 彩子[2], 向井 利典[1]

東北大学理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター[1]
宇宙科学研究所[2]

Characteristics of Pc5 variations drived by the solar wind dynamic pressure during geomagnetically quiet period.

*Hirokazu Tomiyama[1] ,Akira Morioka [1],Hiroaki Misawa [1]
Fuminori Tsuchiya [1],Yoshizumi Miyoshi [1]
Hajime Hayakawa [2],Ayako Matsuoka [2],Toshifumi Mukai [1]
Planetary Plasma and Atmospheric Research Center, Tohoku University[1]
Institude of Space and Astrinautical Science[2]

Characteristic geomagnetic variations of Pc5 were observed on Geotail, GOES and the ground stations during geomagnetically quiet period, corresponding to the rapid but weak variations of the solar wind dynamic pressure. This event would be the typical Pc5 drived by the solar wind dynamic pressure. We report occurrence and propagation characteristics of the phenomena in the magnetoshere based on the case study of the event observed on April 26, 1997.

[概要]
地球磁気圏が極めて静穏な状態のもとで,太陽風動圧が微弱な 振幅ではあるが急激な変動を示すとき,特徴的なPc5型変動が,Geotail,GOES及び地上で観測された。
本現象は,太陽風動圧変動に駆動されるPc5型脈動の 典型例とらえたものと解釈される。 講演では1997年4月26日に case study を中心に, その出現特性,磁気圏内の伝搬特性について報告する。
[序]
Geotail衛星は磁気圏尾部からmagnetopauseをかすめるように ほぼ磁気赤道面上に沿って地球を周回しており、 軌道上で数多くのPc5波動などが観測されている。 Geotail衛星は過去の衛星と比べて高精度での電場の観測が 磁場とプラズマの観測と同時に行われ、 これらPc5波動のより詳細な解析が可能となっている。 このGeotail衛星で観測されるPc5波動において 低エネルギープラズマが振動する特殊な例が みられることが[Sakurai et al., 1999]によって報告された。 この現象はプラズマの密度と温度がPc5の倍の周波数で 振動するという特徴をもつ。
本研究ではさらに,この種の現象と太陽風変動との関連, 磁気圏多点衛星観測データ,地上磁場観測データとの 比較をおこない,太陽風動圧変動との関連,磁場変動の特性, 磁気圏内の波動伝搬過程を調べた。
[主な解析結果]
 今回は主に1997年4月26日のイベントについて報告する。 解析により明らかにされた点は以下の通りである。
(1)Geotailによって地球からおよそ10Re離れた0600LT付近で
  Pc5型脈動が検出された(周期約250秒,振幅約 2mV/m,
  継続時間約10分)。
(2)波動は,インパルス的な振動をした後,Pc5型のsinusoidal変動に
  移行する。
(3)Pc5型変動が出現する時間帯において,プラズマ密度は
  周囲より増大,プラズマ温度は周囲より減少する。
  この変動の中にSakurai et al.(1999)が報告している
  密度・温度の倍周波変動が見られる。
(4)この脈動現象の出現にほぼ対応して,太陽風動圧は0.5nPaの
  弱いながら急激な変動を示す。
(5)この時Geotailと同様午前側の領域にあったCanopusや
  GOES8、GOES9でこの現象と関連しているとみられる磁場の
  振動的変動(〜10nT)が観測される。
(6)磁気赤道面上でその変動の動きを見ると磁気圏内の外側から
  内側へ、昼側から夜側へ伝わる。
(7)この現象は,他の同様な現象の解析から及び
  Sakurai et al(1999)から,Dst,Kp,AEとも静穏な状態,
  またIMFも北向き時に出現することが確認される。