non-Io木星デカメータ電波を用いた 太陽風・木星磁気圏相互作用に関する研究

*井上 友貴[1], 小野 高幸[1], 飯島 雅英[1], 大矢 克[1]
中城 智之[1], 大家 寛[2]

東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻[1]
福井工業大学[2]

Interaction processes between the solar wind and the Jovian magnetoshpere inferred from non-Io DAM emissions.

*Tomoki Inoue[1] ,Takayuki Ono [1],Masahide Iijima [1]
Masaru Oya [1],Tomoyuki Nakajo [1],Hiroshi Oya [2]
Department of Geophysics, Graduate School of Science, Tohoku University[1]
Fukui University of Technology[2]

Occurence of non-Io Jovian decametric radiations during the period of the Jupiter's opposition was examined by using the newly developed radiometer system at Zao laboratory of Tohoku University from Nov. 4, 2000 to Jan. 18, 2001.
During this period, occurence of non-Io-DAM emissions showed on effects of the solar wind disturbances based on the ACE satellite. These DAM events have very strong intensity compared with usual non-Io-DAM emissions. It is suggested that these non-Io-DAM events were caused by solar wind effects of CMEs identified by the SOHO satellite and the ACE satellite.

[はじめに] 木星デカメートル電波はCML-IoPhase ダイアグラム上において衛星Ioの位置に依存する電波(Io-DAM)と、 衛星Ioの位置に依存しない電波(non-Io-DAM)の2種類に 分けることができる。このうち、Io-DAMは衛星Ioによって発生する 擾乱が木星極域電離層へと伝播し、Io foot printで電磁波を 放射するものであることがこれまでの研究により判明している。 一方、non-Io-DAMにおいて、電波源に関しては、太陽風と相互作用を 行う高緯度磁力線のfoot printであるという考えや、 Io torus付近のL値4〜7のfoot printであるという主張があり、 未だに解決を見ていない。また、エネルギー源に関しては太陽風、 木星の自転効果、SL9彗星のdust stormの効果などが指摘されており、 未だに定量的な考察に基づく結論がない状況にある。そこで、 本研究の目的はnon-Io-DAMにおける太陽風の寄与にについて、 その効果を定量的に見積もりnon-Io-DAMのエネルギー源、 および電波源を究明することにある。
[観測]本研究ではこの目的のために長期間にわたって 木星デカメートル電波の強度観測をデジタルデータとして記録する Radiometer systemを新たに東北大学蔵王観測所に設置した。 本研究では2000年11月4日から翌年1月18日までの 木星の衝の期間に特に着目し、木星デカメートル電波の強度観測を 実施した。この期間におけるACE衛星が観測した 太陽風キーパラメータから木星磁気圏近傍での太陽風擾乱の時間変化を 推定し、これと木星デカメートル電波とを比較、解析した。
[解析結果]今回の観測期間中、SOHO衛星で観測されたCMEに対応する 太陽風をACE衛星が観測し、さらにその後、このCMEに由来することが 示唆されるnon-Io-DAM eventが観測された。このnon-Io-DAM eventは 通常観測されるnon-Io-DAM eventよりも非常に強く、 このときのeventがCMEに由来する太陽風によって引き起こされたことを 示唆する結果となった。