時間とIMF-Bzに依存するDst発達係数

*渡邊 成昭[1]

通信総合研究所[1]

Decay rate of Dst depend on time and IMF-Bz

*shigeaki watanabe[1]
Communications Research Laboratory[1]

We have constructed operational models that can predict the geomagnetic storm index Dst two hours in advance by using an Elman-type neural network and continuous real-time solar wind data measured by the Advanced Composition Explorer (ACE) spacecraft. A good NN model trained on a statistically broad range of natural events should reflect the properties of actual events. Conversely, this supposition confirms the model's prediction capability. A model that effectively predicts many storms should be a good simple simulator for the majority of storm patterns. We realize the decay rates of Dst that depend on Bz and time.

太陽風パラメタに対する地球磁気嵐指数Dstの応答を調 べる。ニューラルネットワーク法(NN)による予測が現在稼働 している。1998年からACE衛星の最終処理後のデータを 用いた4年間の成績は概ね良好であった。即ち俗に云うチャ ンピオンデータだけでなく、総合的に見て安定した成績であ る。そのモデルは簡単な応答を調べる事にも役に立つ。少な くとも50個の嵐をこのNN法は学習しているので、ある意味 では統計解析の側面も持つ。 今回は、特に嵐の主相を中心に嵐の発達過程を解析して 見る。単純から複雑現象へ解析を進める。最も重要なパラメ タであるBzの役割を詳しく定量的に再調査してみる。単純 な、実際に存在する例を考慮して慎重に解析を進める。簡単 な場合として、例えば太陽風のパラメタで速度V、密度Nが Bzが南転した後であまり変わらず、一定している事象につ いて、まず解析した(太陽風では異常な事では無い)。しばし ば引きあいに出されるBurton et al (1975)の提唱したモデルで は、入力が一定の場合、即ち、Bzが南向きで密度、速度が一定 の値をとる様な場合、単純な線形常微分方方程式となる。 この解ある定数の下駄をはき、一定の時間発達定数Tを持つ 指数関数としてDstが発達する。これに対してNN法によって調 べたDst発達は、Bzの大きさにより、指数関数的発達定数Tは 時間に依存して変化する。Bzの絶対値が小さい場合、Burton 型に比べDstは落ち込みにくい傾向が見られるようである。 即ちTは大きい。これに反し、Bzが小さい場合(絶対値は大きい) Tは小さくなり、Dstは相対的に発達し易い。即ち、Bzが南向きの 場合でも、Bzの絶対値が小さい場合は、大きい場合に比べ少し異 なった振る舞いをする。 尚、このNNモデルの学習データは、 -50nT以上の比較的穏やか期間を44%以上取り込んでいるのが特徴 的である。密度、速度、Bzの変化も考慮したDst、Tの特性を把握 し発達機構に言及する。