IRTF Galileo Support Program 1998-2000年のデータによる
木星赤外オーロラ発光強度の変動

*八重樫 諭代[1], 森岡 昭[1], 野澤 宏大[1]
三澤 浩昭[1], 岡野 章一[1]

東北大学 惑星プラズマ・大気研究センター[1]

Analysis of the jovian IR auroral emission intensity using IRTF Galileo support observations in 1998-2000

*Satoyo Yaegashi[1] ,Akira Morioka [1],Hiromasa Nozawa [1]
Hiroaki Misawa [1],Shouichi Okano [1]
Planetary Plasma and Atmospheric Research Center,Tohoku University[1]

The study of Jovian auroral variation provide much of information on activity of Jupiter's magnetosphere. In this study,we analized the Jovian infrared(IR) auroral images to study the global dynamics of the Jovian aurora during 1998 to 2000. Images are provided from the NSFCAM on NASA's Infrared Telescope Facility(IRTF) which are obtained for Galileo support observation.

 太陽系最大の惑星である木星は、非常に強い磁場を持ち大規模な 磁気圏を有している。その磁気圏は活発に変動をする事がこれまで の直接探査から分かってきているが、地球磁気圏とは異なり連続観 測する機会が少ない為、詳細な変動の様子や、変動を引き起こす要 因やメカニズム等には未だ不明な点が多い。  木星極域には、巨大なオーロラ発光が存在し、地球または地球近 傍から観測が可能である。オーロラ発光は、磁気圏活動の様子が電 離圏に投影されたものとみることが出来る為、オーロラの変動をモ ニターとして地球から木星磁気圏のリモート観測をする事が出来れ ば多くの情報を得ることができ、木星磁気圏の理解に大きく貢献す るであろう。その為には、磁気圏活動と、電離圏のオーロラ変動の 因果関係を明らかにする必要がある。しかし、木星オーロラ自体の 観測も未だ例が多いとは言えず、特に長期的な変動についての研究 は進んでいない。  そこで本研究では、紫外域に比べて地上観測が可能で比較的デー タが取得し易い赤外オーロラのイメージデータを使用し、木星オー ロラの発光強度の変動について解析することを目的とする。  使用するデータは、ハワイマウナケア山頂のNASA Infrared Telescope Facility(IRTF)3m望遠鏡搭載のNSFCAMで1995年 から現在も引き続き行われている、Galileo探査機のサポート観測 による3.53micronのイメージデータである。この波長域で観測さ れるのは、H3+の赤外オーロラ発光である。データの取得は不定期 であるが、木星が観測可能で、この観測で使用する撮像機が望遠鏡 にセットされている日に、南北それぞれ一枚分のイメージデータが 取得され、年間を通じて、約60-120枚程のデータが得られている。 今回は、1998-2000年の3年間分のデータを使用し、発光強度の変 動の様子を調べた。 日々の発光強度の比較の為に行った作業は以下の通りである。 1)木星ディスク上である一定値以上のカウント数を持つデータを オーロラ発光としフレーム内全てのオーロラ発光値を足しあわせ、 発光強度とした。 2)木星−地球間の距離は、約4-6AUと変化する為、観測され る木星像の大きさの変化分を補正した。 3)木星オーロラの形状は、木星の磁気経度(System−V経度)に 固定して回転する。したがってオーロラの観測時のCMLによって 地球からみるオーロラの形状は日々異なるが、同じCMLであれば 同じような形状で見える。そこで発光強度をCML毎に並べ平均値 を算出し、その平均値からの値の変動を発光強度の変動とする事で 観測ジオメトリによる見え方の効果の補正を行った。