下部熱圏プロファイラレーダーを用いた 電離圏イレギュラリティと中性風速の関連に関する研究
*山田 仁志夫[1], 深尾 昌一郎[1], 山本 衛[1]
京都大学宙空電波科学研究センター[1]
Study on the relationship between ionospheric irregularities and neutral wind with LTR
*Nishio Yamada[1]
,Shoichiro Fukao [1],Mamoru Yamamoto [1]
Radio Science Center For Space And Atmosphere, Kyoto University [1]
The Lower Thermosphere Profiler(LTP) is a 31.57 MHz Doppler radar
in Shigaraki. It was operated for long-term observation of the
field-aligned irregularity(FAI). In thie study we utilized its
multichannel receivers to form an radio interferometry and started
simultaneous observation of FAI and meteor trail echoes in the
middle of July. We statistically examine relationship between
the FAI and the background neutral wind based on the LTP data
in the period from July to November 2001.
下部熱圏プロファイラレーダーは、中緯度E領域沿磁力線イレギュ
ラリティ(Field-Aligned Irregularity; 以下 FAI)の常時観測を主
な目的として、平成11年度に信楽MU観測所敷地内に設置された。同
レーダーは、レンジ分解能1.5km、送信出力24kW、中心周波数31.57 MHzで動作し、4素子八木アンテナ6台が北側、南側の2系統で構成さ
れている。また、受信系統は独立したマルチチャンネル受信機能及
び高度なレーダー制御・信号処理機能を備えている。そこで、北系
統から2つ、南系統から1つの計3本のアンテナを選択し空間領域干渉
計を構成し流星飛跡エコーの観測を、また、北系統の5本のアンテナ
で従来通りFAIエコー観測を行い、本年度7月12日から、両エコーの
24時間、同時観測を開始した。また、干渉計観測から算出した流星
エコーの到来角と、時系列データの位相時間変化から求めたドップ
ラー速度から、2時間、2kmごとの背景風速の推定を行った。アンテ
ナビームの中心が西に10°とほぼ北向きとなっているため、東西風の
標準誤差が南北風の誤差と比較して大きくなるものの、高度90kmか
ら100km程度までの風速推定が可能であることが確認できた。7月中
旬から8月中旬の期間において、FAIエコーは夜間から朝方に高度90 kmから120km程度の範囲で同レーダーで観測された。この1ヶ月間のデ
ータを使用してFAIエコーの出現と背景風速との関係を調べたところ、
FAIが出現した時刻では高度方向に一様な東向きの風が存在し、特に
北東向きの風が存在する場合に、高度方向に広がりをもつFAIが観測
された。発表では7月から11月までの4ヶ月間のデータを用い、FAIと
背景風速の関係を詳しく報告する予定である。