北アナトリア断層帯西部域におけるMT観測

*本蔵 義守[1], Bulent Tank[1], 大志万 直人[2]
Mustafa Kemal Tuncer[3], Elif Tolak[3]
Cengiz Cerik[3]

東京工業大学[1]
京都大学[2]
ボアジチ大学[3]

MT observations in the western part of the North Anatolian fault zone

*Yoshimori Honkura[1] ,Bulent Tank [1],Naoto Oshiman [2]
Mustafa Kemal Tuncer [3],Elif Tolak [3],Cengiz Cerik [3]
Tokyo Institute of Technology[1]
Kyoto University[2]
Bogazici University[3]

We have been making extensive MT observations in the western part of the North Anatolian fault zone in order to investigate the deep resistivity structure beneath the fault zone. We already reported that a remarkably high resistivity zone prevails in the focal area of the Izmit earthquake. We also found that aftershocks tend to occur in the high resistivity zone. In order to examine whether such a high resistivity zone extends further to the west, we have made MT observations. Here we show some of the preliminary results of MT data analyses.

1.はじめに
 トルコ北部を東西に走る北アナトリア断層の西部域は地震空白域として 知られていたため,断層深部の構造を調べるために,MT観測を行なって いる.これまで,イズミット地震の震源域及びその東部の2測線での 比抵抗構造を明らかにし,さらに西部の1測線での予備的観測結果を 報告してきた.今回,さらに2測線を設け,MT観測を行なったので, その概要及び予備的データ解析結果を紹介する.

2.観測及びデータの概要
 測線はこれまでと同様,ほぼ南北にとった.今回の測線は一つは これまでの測線よりもさらに西方で,マルマラ海に近い.ここでは 顕著な磁気異常が見られ,測線の南部は正の異常域,北部はやや負の 領域になっている.現場での解析によると,見かけ比抵抗は南部で 高く,北部で低い傾向にあり,磁気異常と調和的であるように見える.
 もう一つの測線は,イズミット地震の震源域の西部にあたり,最北 点は震源断層の北側に位置するはずである.ところが,この測線の 北部は都市部になるのでノイズが大きく,良質のデータは取れていない. ただし,南部は一部を除いてデータの質はよさそうである.

3.この後の展望
 現在,この2測線で得たデータの解析を進めているが,解析が終われば 2次元モデリングに入る予定である.今回はさらに,地殻深部比抵抗変化 の検出も目指しており,そのためのサイトサーベイも兼ねている. この点では,西方測線には観測環境に恵まれた地点を見つけることが できたので,来年スタートを目指して準備を始めている.候補地点の 一つでは,見かけ比抵抗や位相曲線で,エラーが非常に小さいことから, 地殻比抵抗の変化を検出できる可能性は高いと期待している.