MHD乱流による荷電粒子のピッチ角拡散

*蔵満 康浩[1], 羽田 亨[1]

九州大学大学院総合理工学府大気海洋環境システム学専攻[1]

Pitch angle diffusion of charged particles by MHD turbulence

*Yasuhiro Kuramitsu[1] ,Tohru Hada [1]
Department of Earth System Science and Technology, Interdisciplinary Graduate Sc[1]

We discuss pitch angle diffusion of charged particles under influence of static magnetohydrodynamic (MHD) turbulence. According to quasi-linear theory, particles exactly at 0 or 90 degrees pitch angles do not undergo the pitch angle diffusion. However, our numrical study shows that the diffusion is in progress even at these angles when the turblence level is moderately large. We discuss this results in detail, and propose a simple pitch angle diffusion model that includes effects of resonance broadening and mirror reflection.

磁気流体(MHD)乱流の下での荷電粒子の加速・加熱や実空間で の輸送は、しばしばピッチ角拡散を基に議論される。ここで素過 程となるのは波動による線形のサイクロトロン共鳴を介した粒子 の散乱であり、その統計は準線形理論により記述される。準線形 理論におけるピッチ角拡散はピッチ角90°の粒子は共鳴する波動 が存在しないため90°を越えては拡散できないという、いわゆる 90°問題や、線形の近似でフォースフリーのビーム粒子は拡散さ れないなどの理論的な拘束がある。しかし、テスト粒子を用いた 実験ではMHD乱流の強度がある程度の大きさになれば、理論的な 拘束は簡単に破られることが見られる。また、実際に宇宙空間で 観測された波動のデータを用いたピッチ角拡散係数から見積もっ た粒子の平均自由行程と粒子分布から直接見積もられた平均自由 行程との差違から、準線形理論によるピッチ角拡散の妥当性や、 またその他の輸送過程への応用の妥当性についての議論が必要で ある。
本講演では、純粋にピッチ角拡散のみを取り扱うために波動の伝 搬速度が1つのみの場合を仮定し、また非共鳴粒子の拡散過程に 着目し波動の種類を1種類と仮定する。これらの波動の系におい てテスト粒子を用いてピッチ角拡散係数等を数値的に求め、準線 形理論との差違を議論し、準線形理論に含まれない拡散過程を統 計的に取り扱う方法を議論する。